こんにちは。プロモデラー林哲平です。
この間実家の両親が孫の顔を見に来てくれたのですが、そのとき「納屋に積んでいたプラモデル、床が抜けそうになってたからある程度中古ショップなんかに売って処分したよ」と聞かされました。
子供が小さくて実家に帰れてないですし、むしろ買ったはいいけれど作る予定が無かったプラモデルを10年以上保管しておいてくれたのでと意外とすんなり納得できたのですが、長くモデラーを続けていると抱えた在庫とどう向き合うか? ってのはモデラーなら誰しも持つ悩みですよね。
今回は積んだプラモはいかに増えるのか? そして我々モデラーは積みプラどう向き合えばいいのか?を考えてみました。
モデラーが持つプラモデルの在庫はいかに増えるのか?
さて、プラモにハマり、模型趣味を続けるときはどんな段階をふんで在庫は増えるのでしょうか?
プラモの増加を促す要因は多いですが、中でも重要なのは2つの物理要因と1つの心理要因です。
①物理要因 購入するためのお金
②物理要因 在庫を置く空間
③心理要因 興味のあるジャンル(ガンプラ、AFV、エアモデルなど)
ではなぜこの3つが重要なのか? を考えてみましょう。
①購入するためのお金
当然ながらプラモデルを手に入れるためにはお金が必要です。
自分で金を稼ぐ手段が限られている学生や、小遣い制のサラリーマンだとなかなか欲しいプラモを全部買う、というわけにはいきません。
ただ、昔よりも値段が上がったとはいえ、プラモデルの値段はいまだに安いです。
たとえば月1万円プラモに使うと考えても、ガンプラのHGUCなら軽く5体くらい買えてしまいます。
これが自由にお金を使える立場(結婚前の私みたいな感じですね(笑))にあるヘビーモデラーだと、月3~4万ぐらいプラモに使えちゃいますから、その増加率たるやすさまじいものがあります。
②在庫を置く空間
どんなにお金があっても、在庫を置くための物理的空間が無ければそれ以上プラモを増やすことはできません。
例えば家族と一緒に住んでおり、プラモを積んでもいい量を家族に制限されているとどんなにお金があっても買えませんからね。
逆に言えば、家族などのストッパーが無い場合、最低限の生活空間を除いたスペースが全てプラモで埋まり、壁がプラモで構成された模型店のような空間が出来上がります。

これはプラモ漫画の名作「プラモ狂四郎」のワンシーン。
狂四郎が模型コンテストなどでも多数入賞する実力をもつ大学生モデラーの富田さんの家をたずねる場面です。
なにかしらストッパーとなる要因が無いと、居住空間のスペースを限界まで埋めるまで増えるんですよね。
小学生のときこのシーンを見て「こんな部屋に住んでるヤツなんていないだろう」とファンタジーだと思っていたんですが、大学生になってしばらくたつと自分の部屋がこうなりましたね。
そして、仲のいいプラモ好きの友人の部屋も全てこんな感じでした(笑)
この名シーンに敬意を払い、私の仲間たちはプラモに埋まった部屋のことを「富田部屋」と読んでいます。
え?プラモ狂四郎を読んだことが無い?
プラモ好きなら必読の名著なので、いますぐに読みましょう!!!
③興味のあるジャンル

ガンプラだけ…… ならばまだマシなのですが、プラモデルって興味があるジャンルが一つ増えると購入対象となるキットが一気に増えます。
たとえば飛行機が専門だったとしても、これまで日本機とドイツ機しか興味なかったのに急にロシア機が好きになっていろいろ買ってたら一気に在庫が増えたりとか(笑)
好奇心は猫を殺すかもしれませんが、モデラーの場合空間を殺しがちなんですよね……
グラフで見てみよう。プラモの増え方は人口増加グラフと酷似している!!!
で、このプラモの増加っぷりを見ていて、なにかに似ているなあ…… と思ったんですが、これでした!!!
大学生のとき読んだマルサスの人口論です!!!
マルサスの人口論というのは簡単に言うと、「人口は食糧生産の増加よりもはるかに早いスピードで増える」というもの。

これを「人口=プラモの在庫」「食料生産=完成品」に置き換えてマルサスモデルのグラフを見てみると…… ピッタリ一致するんですよね。
私はこれは「プラモ量保存の法則」と名付けました。
完成品の数は等差数列的1次関数グラフで増えるが、
在庫の数は等比数列的二次関数グラフで増える。
我々モデラーの在庫が減らないのは、そもそも人間遺伝子に組み込まれた本能的なものなのかもしれません
いやあ、困りましたね〜♪
どうやって管理するのか?
プラモが増えるスピードがとてつもないことがわかりました。
でも、それをどうやって管理すればいいのでしょうか?
ガンプラならばとにかく組み立てて質量をへらす、という作戦もありますが、塗装前提のスケールモデルではなかなかできませんし、エアモデルや艦船模型の場合、完成すると箱よりデカくなって余計にスペースを食います。
かといって一体完成させるまで次のプラモデルを買わない、というのはモデラーをやっている人間にとってはとてもじゃないけど現実的でも無いですし。
どうすればいいいのか…… そう思っていろいろ考えてみた結論は!!
全てのモデラーが模型店化する時代
積りに積もった在庫。これをどうにかする方法たただ一つ、もう作らないキットはオークションサイトや中古ショップに売却する、これが一番正しい方法だと思います。
自分が作らないキットでも、他の誰かにとっては今すぐ作りたいキットかもしれませんし、仮に買われていった先で作られなかったとしても、また売られて買われ、循環していくうちに誰かが作ってくれるでしょう。
昔は欲しいキットを探すために何軒も模型店をはしごしていた時代があったのですが、インターネットが普及し、ヤフオクが広まりだしたとき、驚いたのがそれまで聞いたことしか無かった幻のキットが山のように出品されていたことです。
それを見て思ったんですよね。「全てのモデラーの押入れが模型店になったんだな」って。
なので山のように積まれた在庫の山は動かない死に在庫ではなく、流動し続けるプラモデルが一時的にここにある、と考えればまた輝いて見えること間違いありません。
世界に存在するプラモデルの総和がプラモデルにさらなる進化をもたらす
2010年以降、プラモデルメーカーの数も増え、発売される商品点数もさることながら、その進化の内容も凄まじいものがあります。
もちろんITや3D技術の進歩というのも大きな要因ですが、私は世界中に存在するプラモデルの量の総和が増えたことも大きいと考えています。
人類の技術の進歩は近代になればなるほど進化のスピードが加速していきました。
それは知識という資産が蓄積されれば蓄積されるほど、複利効果で技術革新のスピードアップに繋がったからです。
私はプラモデルもそれと同じことがおきているんじゃないかな、と思っていて。
世界中に蓄積されるプラモデルの数が増えれば増えるほとプラモデルによる経験と知識が蓄積され、より進化した新しいプラモデルが生まれるのではないか、と。
だから押入れに山のように積まれたプラモデルは産業廃棄物なんかじゃなくて、プラモデルの新しい時代を切り開くための知恵の源泉なんだ!!! と私は信じております。
さ、今日も張り切ってプラモつくりましょう!!!
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