こんにちは!プロモデラー林哲平です♪
今回はホビージャパン2021年9月号の連載記事「ガンプラ凄技テクニック」で制作した1/100アッグを紹介します♪
旧1/100アッグにHGUCゾゴックのパーツを移植し、お手軽簡単に、初心者でも「アップグレード大作戦」を楽しめるように徹底解説しています♪
キミは覚えているか?「旧キットアップグレード大作戦を」!!!
皆さん、「旧キットアップグレード大作戦」というホビージャパンの記事を覚えていますでしょうか?
今でこそ、ズゴックやアッガイ、ゴッグなどの水陸両用MSはMGでキット化されていますが、MGシリーズが展開しはじめた初期はそのあたりのMSのキット化など夢のまた夢という状況だったんですよ。
なので腕自慢のモデラーは「俺がMGみたいにしてやるぜ!」とこぞって旧キットの水陸両用MS軍団をMG風に大改造したものでした。
昔のオラザク選手権なんか、上位入賞作例には必ずといっていいほど水陸両用MSを仮想MG化した「アップグレード作品」が入っていたのは皆さんも御存知の通り。
その人気を受けて、ホビージャパンでも「旧キットアップグレード大作戦」の連載記事が掲載されました。
テーマはアッガイで、読者からも意見を求めて工作アイディアを掲載しあながら、最終的には初代MGザクの内部フレームを仕込む形で完成し、当時読者だった私は真似して制作したものです。
まあ、結局完成しなかったのですが……
時は移って2011年ホビージャパン。
なんと、10年ぶりに旧キットアップグレード大作戦をすることになったんですよ!
そのときのテーマはトールギス。
少しずつ旧キットを改造していく連載、しかもモノクロ1ページとか大丈夫なんだろうか?
と思いながら今回は私が制作していたのですが、読者からの反響は大好評!
しかし、なんとMGトールギスの発売が決定し、結局は途中で中断となってしまったんです。
なのでいつかアップグレード大作戦を完遂したい! と常日頃からず〜っと機会を伺っていまして。
今回のアッグでついにやり遂げたわけです!
上級者でないと出来ない!と想われがちなアップグレードモデリングですが、今回は改造初心者でも簡単にできるように、面倒な作業を全てはぶいて超お手軽に製作できるようになっています♪
それでは三度目のアップグレード大作戦行ってみましょう♪
相性バツグン!1/100アッグとHGUCゾゴック!
アッグのアップグレードにあたり、悩んだのがどのキットと合体させるか?ということです。
ごらんの通り、アッグは40年前のキットながら、プロポーションは完璧です。
関節や中身に何かしら最新キットを詰め込んでいくのがアップグレードモデリングの鉄則。
現在ではズゴックもゴッグもMGで発売されていますから、このあたりのキットを合体させればいいや…… というわけにはいかないんですよ!
1/100アッグはサイズが小さいので、他の1/100水陸両用MGはサイズが大きすぎて使えないんですよね。
アッグは設定身長15メートルなのですが、1/100アッグは13センチくらいとちょい小ぶりなんです。
では1/144でなにか合うキットは無いか?と探してみたところ……
HGUCゾゴックがピッタリであると判明しました!
ジャバラ関節のサイズに、内部メカ、両方アッグにピッタリ!
デザイン的にも同じ試作メカ同士、まったく違和感はありません!
それではゾゴックを合体させる方向で、アップグレードミキシング行ってみましょう♪
合わせ目消しは最小限に!
旧キットの合わせ目を消すのは大変です。
全ての部分を真面目に消すと大変なので、例えばこの脚部ならば正面の□ディテールだけ消してみましょう。
こうすれば合わせ目を段落ちディテール処理している最近のMG風の見た目となり、最小限の手間でカッコよく見せることができるのです♪
ちなみに今回のアッグで合わせ目を消したのはこの5パーツのみ。
合わせ目を消したパーツも全部ではなく部分なのであっという間に終わります。
ペーパーがけなどの表面処理は合わせ目部分意外には一切せず、徹底的に時短すればそのぶんアップグレード作業に時間を割くことができるのです♪
合わせ目をズラしてディテールアップ!
アッグのチャームポイントであるドリルとノコギリ。
この合わせ目を真面目に消すと3時間以上余裕でかかるのですが、このようにずらして接着すればあら不思議!
二重反転ドリルに多重ノコギリとなり、時短とディテールアップを両立できるのです。
パーツずらして接着するだけなら5秒でできますからね♪
モノアイをくり抜く!
アッグのモノアイ周りは埋まっており、ここがそのままでは他をどんなに改造しても旧キットに見えてしまうのでくり抜きましょう。
ピンバイスで穴を開けてニッパーでつなぎ、残った部分をデザインナイフと紙やすりで整えるだけでOKです。
小学校のとき覚えたミニ四駆ボディの軽量法が今役立ちました♪
くり抜いてメッシュ貼ったりしましたよね?
ゾゴックの内部メカがピッタリ!
くり抜いたままでは中身ががらんどうなので、ゾゴックの内部フレームを入れましょう。
まるでこのために設計されているのかと疑うくらいにピッタリと収まります♪
アッグのノコギリ固定パーツに接着するだけでOKの超簡単工作ですよ♪
バックパックはゾゴックに交換!
アッグのバックパックは独特の形状をしており、そのまま使うと合わせ目を消すのもディテールアップするのも大変です。
ここはゾゴックのバックパックをそのままつけてしまいましょう。
同じ試作メカ同士、デザインラインが近いので言われないと気が付かないくらいまったく違和感ありません♪
股間はダブルボールジョイントで広げよう!
アッグの脚部はキットのままだと両足が揃った状態で、ちょっとぎこちないのが難点です 。
ここは股間に関節技ダブルボールジョイントを仕込み、外側に開くようにしてみましょう。
これだけでグンと印象が良くなります。
アッグの足は靴しかないので、股間を変えるだけで全てをアップグレードできるんです♪
動力パイプはスプリングパイプに交換しよう!
動力パイプはキットのものは竹割り式で、これの合わせ目を真面目に消すのは大変です。
なのでここはMSGの4mmスプリングパイプに交換してしまいましょう。
あっという間に終わりますし、精密な金属パーツなのでディテールアップ効果も抜群!
中にアルミ線などを通しておけば自由自在に曲げられますよ♪
アップグレードビフォアーアフター!
アップグレード工作が完了した状態。
どうです? 面倒な大改造抜きで、徹底的に時短してもこの仕上がり!
アッグは元々のプロポーションがとにかくいいので、ほんの少し加工するだけで近代化改修が可能なのです♪
らいだ〜Joe式塗装法でさらにアップグレード!
塗装は缶スプレーでお手軽に塗りつつ、らいだ〜Joe式塗装法でウェザリングで仕上げます♪
らいだ〜Joe式塗装法ならば面が広くディテールの少ない旧キットをウェザリングで効果的に表情をつけられますし、なにより工作のアラを全てごまかすことが可能!
アップグレード工作との相性は抜群です!
なお、らいだ〜Joe式塗装法はご本人による著書「ビギナーでもできる!ガンプラお気楽製作ガイド」および「ガンプラ凄技テクニック」「ガンプラ凄技テクニックHG編」でも紹介しているのでぜひ読んでみてくださいね♪
モノアイガードを弁当箱のフタから作る!
モノアイガードは弁当箱のフタを切り抜き、内側から両面テープで貼り付けるだけ。
これだけでMG風のクリアーモノアイガードがあっという間に完成です♪
弁当のフタは薄く透明度が高いので、下手なプラパーツよりもシャープに仕上がり、全体の完成度を上げてくれるのもいいところです♪
アップグレードミキシングは上級者だけのものじゃない!
というわけで1/100アッグ、アップグレードミキシングついに完成しました!
実は私、プロモデラーになる以前、学生時代にオラザクに応募しようとアッグをアップグレードしようと大改造したことが3回くらいありまして。
このアッグくんは実は4体目なんです。
3体完成しなかった経験を活かし、過去の技術が低かったころの自分でもできるようにと、出来る限り簡単に作れるような構成になったと自負しております♪
見た目以上に簡単で、工作初心者さんにもとっつきやすい工作ばかりですのでぜひやってみてくださいね♪
この記事を見て作っていただきました!
なんと!この記事を見て実際にモデラーさんがアッグを作ってくれました!
こちらは老蝉氏の作品。
動力パイプを二重に、 足にはボルトのモールドを埋め込み、 メタリックとグラデーションを使い分け、私の作品よりもさらにアップグレードした姿はまさにMG!もう感涙ものです!
こちらはかつらぎさんの作品
アップグレード工作に合わせ、なんとモノアイに発光ギミックを追加!
アッグはモノアイ大きいので、光ると効果抜群でものすごい存在感です!
いや〜光るって強い!強いですよ!
私はガンプラの製作解説をするとき
「初心者モデラーさんでも、見れば本当にできるように」を常に心がけています。
こうして「見て作ったよ!」と作品を見せていただけるのが一番嬉しい時間です♪
「ガンプラ凄技テクニックミキシング編」に増補版で収録!
この作例は月刊ホビージャパンでの連載をまとめた本「週末でつくるガンプラ凄技テクニック ミキシング編」に製作途中写真や製作解説、完成写真を10枚以上追加した増補改定版で収録しています。
下↓の記事で本の内容について徹底解説していますので、本誌の連載で一度読んだ人も、まだ見ていない人も目を通してもらえると嬉しいです♪
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