こんにちは!プロモデラー林哲平です!
「究極の作例を作る」をテーマに予算、時間、手間など全てのリミッターを解除して思いのままにガンプラを作るホビージャパンメカニクスの連載企画「林哲平の機動模型超級技術指南」。
HJメカニクス07号掲載の第7回は「オリジナルジオ2020」。
プラモのパーツは一切使わず、100円ショップの商品で気軽に楽しむ、大人の夏休み自由工作モデリングを熱く解説しております♪
大きな模型を超簡単に製作できる「自由工作モデリング」!!!
「フルスクラッチ!」
「ミキシングビルド!」
とカタカナ言葉で見ると難しそうに感じますが、実はどれも「工作」でしかないんですよね。
誰だって、子供の頃廃材や身の回りにあるもので工作したことってありますよね?
だから誰もが実はフルスクラッチやミキシングビルドの経験者なんです。
なので今回は子供のころに自由気ままに、思うがままに工作したあの気持ちを取り戻そう!というのがテーマとなります。
で、せっかくだから普通に作るとデカすぎたりディテールが多すぎたりしてちょっと死んじゃうMSを作ってみようと思いまして。
色々モチーフとなるMSを考えたのですが、私、角川書店刊「ニュータイプ100%コレクション 機動戦士Zガンダム メカニカル編(1)」の裏表紙に掲載されている小林誠氏のイラスト「オリジナルジオ1987」がもう大好きでして。
いつか作りたい!とは思っていたのですが、普通に作るとかかりきりでも2年くらいかかりそうなんですが、自由工作モデリングならきっと大丈夫だろう、と見切り発車でGOしたわけです。
胸のど真ん中にも電車がついてますしね(笑)
この自由工作モデリングはもう、本当〜に簡単です。
正直、超級技術指南というよりガンプラ凄技テクニックに入れてもいいくらい簡単で、ちょっとコツさえ掴めば誰でも簡単に作れるくらい簡単なんです。
というわけで毎日が夏休みな、夏休みのプロでもある専業プロモデラーの送る、究極の大人の夏休み自由工作講座行ってみましょう♪
自由工作モデリングの要は接着剤!
100円ショップの商品はプラスチック、ポリブロビレン、金属、ABS樹脂など様々な素材で構成されています。
なので普通のプラモデルに使うスチロール系接着剤は使えません。
HOWTOではこれらの素材を無理矢理接着することができる、エポキシ系接着剤と高強度タイプの瞬間接着剤について解説しています。
特にエポキシ系接着剤は大量に使うことになるので、業務用で大容量かつ、5分以内に硬化する物を選びましょう。
今回はアルテコF−05を使用しています。
大容量で値段も安く、使い安いのでオススメですよ♪
自由工作モデリングに便利なオススメ100均アイテム!
100円ショップには1店舗あたり10万点の商品があると言われています。
いきなり「100均一でMSを作れ!」と言われても戸惑う人も多いはず。
記事でははその中でも特に自由工作モデリングに効果的な素材をピックアップ !
特に今回のジオではカレー皿、使いすて髭剃り、シガレットフィルター、コンセントガードには非常にお世話になっているのでその素晴らしさについて解説しています。
軸打ちにはハンダゴテを使え!
100円ショップの素材をそのまま補強無しでイモ付けした場合、強度不足ですぐにバラバラになります。
なので5mmくらいの太い真鍮パイプによる補強が必須となるのですが、ポリブロビレンや薄いPET樹脂などは粘りが強すぎてドリルが通りにくかったり、力を駆け過ぎると凹んでしまうものもあるんですよね。
なので自由工作モデリングで軸打ちするときはハンダゴテで素材と溶かして溶断するのが一番手取り早かったりするんですよね。
記事ではハンダゴテを使い、開口する方法を解説しています。
ダイソープラレールでジオの足を作る!
小林誠版ジオといえば5本の指が突き出した巨大な脚部が特徴ですよね。
記事ではダイソープラレールの成田エクスプレスと洗濯バサミ、コンセントガードとお薬ケースを使ってこの特徴的な脚部を製作する方法を解説しています。
「ダイソープラレールって何?」という人も多いと思うので解説すると、子供用の玩具コーナーに置かれているプラレールそっくりのおもちゃ。
うちの息子も小さい時はお世話になりましたね。
かなりのロングセラー商品のようで、2013年に長男が生まれてダイソーの100均コーナーに行くようになってからずっと置いてあるので、気になる人は近くのダイソーで探してみてはどうでしょうか?
伝統のヤクルト工作でプロペラントタンクを作る!
小林誠版ジオはナイチンゲールのようにスカート内にプロペラントタンクがついています。
これを伝統あるミキシングアイテムのヤクルト容器と牛乳パックを使い、巨大なプロペラントタンクをお手軽に作る方法を解説しています。
超簡単なので、マジで10分あればできますよ♪
カレー皿で外装を作る!
小林誠版ジオといえば緩やかな曲面で構成された外装が特徴的です。
これをシーファインという発泡スチロール系の素材でできたカレー皿で製作する方法を解説しています。
ハサミでチョキチョキ切って貼り付けるだけなので、超短時間で外装を組み上げることができるんですよ♪
細いプロペラントタンクは油性マーカーを使え!
背面につく細いプロペラントタンクは油性マーカーを使用して製作する方法を解説…… というかもうそのまま突き刺して使っています。
油性マーカーって長さ、ディテール、形状、太さにおいてあまりにもプロペラントタンクにピッタリすぎ!
実はマーカーではなく、プロペラントタンクとして売り出すはずの金型がなんらかの事件によりマーカーに転用されたのではないか?と陰謀を疑うくらいピッタリなんですよね。
チャッカマンでスタビライザーを作る!
小林誠版ジオと言えば背中から突き出した超巨大なスタビライザーが特徴です。
これをチャッカマンを駆使して製作する方法を解説しています。
チャッカマンやライターはバラすと精密なパーツが手に入る宝の宝庫ですが、引火性のガスや燃料には十二分に注意してくださいね!
ホッチキスの針とフォークで指を作る!
小林誠版ジオの肩アーマーからは数多くの隠し腕が突き出しています。
この腕の指を懐かしの原田指のテクニックを応用しつつ、ホッチキスの針とフォークから自作する方法を解説しています。
自分でもびっくりするくらい、手軽に精密感の高いマニュピレーターを作れるので自由工作モデリングでも特にオススメのテクニックです♪
パイピングで隙間を埋めろ!
自由工作モデリングでどうしても出てくるのが隙間の問題。
そもそも工作用の物ではないものを無理やりくっつけているので、どうしても不自然な隙間が目立ちやすいんですよね。
今回はそれを80年代後半のガンプラ作例で多用された、隙間にコードやスプリングパイプを詰めて詰めて詰めまくる、パイピングによって解決。
今回はジッパー付きイヤホンのコードとジッパーを使い、密度感を高める方法を解説しています。
ジッパーイヤホンは普通のガンプラに使えるくらい、優秀なディテールアップアイテムなんですよ。
難関の頭部を攻略せよ!
お手軽簡単な自由工作モデリングですが、ちょっぴり難しいのが頭部の造形。
MSの頭に使えるような細かなパーツは非常に少ないので、ちょっと頭をひねる必要が出てくるんですよね。
今回は使いすて髭剃りやイヤホンを分解し、パテは一切使わず素材の持ち味を活かして製作する方法を解説しています。
アンテナには縫い針を使ったのですが、これは超シャープでいいですね。
たまに刺さるのが難点ですが、焼き入れされているため曲がりにくく、精密感抜群なので普通のガンプラにもかなり活用できそうです。
自由工作モデリングダイジェスト!100均素材がジオになる!
「いや、100均でジオ作るとか意味がわからん!」
という人も多いと思うので、製作過程をダイジェストで見て行きましょう。
最初はダイソープラレールの踊り子と毛糸用の編みかけをくっつけて胴体の基本を作り、そこに金属線で背骨を作りつつ、両足をつけ、そこからいろんな部分をデコレートしていき、最後に頭を作る感じで製作しています。
ご覧の通り、プラモのパーツは一切使わず、100円ショップの商品で構成されているのがわかると思います。
ぜひ、この写真をじっくりみてどこにどんな部品が使われているか探してみてくださいね♪
80年代SFメカ塗装法!
自由工作モデリングは全体をほぼ丸ごと、一気に豪快に塗装して手早く仕上げるのが醍醐味です。
バラバラだった素材の色が、一色に統一されていく瞬間てもう本当〜に気持ちいいんですよね♪
記事では全身グレーで立体感やディテールを強調する、スターウォーズやギャラクティカのような80年代SFメカ風塗装を解説しています。
ちなみに塗装には3日しかかかっていません♪
自由工作モデリングのルーツ「ケルバーダイン」!
このジオがHJメカニクス07に掲載されてから、いろんな人に「すごいアイディアだ!」とやたらと褒めていただけて嬉しいのですが、実はこのジオ。
いきなりパッとアイディアが出てきたものではなく、実は以前からずっとやってみよう!と心の中で温めていた作品なんです。
私は以前、拾ったゴミと不用品のみをミキシングして作るオリジナルのロボットシリーズ『ケルバーダイン』というのを製作していた時代がありまして。
このときプラモではない廃材をミキシングして発見したのが 「デカくて迫力があるものが超短時間でできる!」 ということでした。
ケルバーダインは全部で10体くらい作っているのですが、全て5日かからず完成してますし、今回のジオも製作期間は塗装まで含めて25日しかかかってないんです。
ケルバーダインの製作で経験した、「 素材の選びかた」 「組み合わせかた 」「強度の確保 」「手早く塗る方法 」をフィードバックしたのが今回のジオに結実したわけなんです♪
自由工作モデリングでこの世の全てを模型店にする!
ケルバーダインを作っていて感じたのは、何気ない日常と模型製作が常にリンクし続けるので毎日がすごく楽しい!ということでした。
道端に落ちているゴミや、ふと入ったお店で見かけた商品が、プロペラントタンクや装甲、大砲に見えてくる。
なんというか、模型店の棚の奥で、見たこともなかったけれど、心にズンとくるプラモを見つけた瞬間のような。
昔はいろんなところにあった模型店やおもちゃ屋はすっかり姿を消し、実際にプラモを手にとって選ぶ、ということはほとんどなくなってしまいました。
ですが、この自由工作モデリングならどうでしょうか?
自由工作モデリングはこの世に存在する全てのものが素材になります。
模型店はなくなりましたが、100円ショップなら日本中いたるところにあります。
コンビニも、スーパーも、道端も、ゴミ箱も、ありとあらゆる場所が模型店になるなんて、素敵だとは思いませんか?
作るものを実際に自分の目で見て、手にとって選ぶって模型の醍醐味だと思うんですよ。
文房具屋とタバコ屋とか。
いたるところにプラモが売っていて、プラモがすごく身近だったあの時代。
そんな子供時代の楽しさを、大人の自由工作モデリングで取り戻してもらえたら嬉しいなと思っております。
ビグザムも作ってみました!
このジオと同じ方法でビグザムも制作してみました。
こちらもぜひ読んでみてくださいね♪
「ガンプラ凄技テクニック 機動模型超級超級技術指南」に収録されています!
こちらの小林誠版ジオですが、私の著書「ガンプラ凄技テクニック 機動模型超級技術指南」に、連載当時よりも完成写真を大幅に増ページしてより詳細に収録しています。
この記事を見て「いいな!やってみたいな!」と感じていただけたら、こちらの本も読んでいただけると私はすごく嬉しいです♪
コメント
コメント一覧 (2件)
『世界の至る所が模型屋さん』
全く同じ気持ちです✨
今廃材だけでヤクトミラージュ作ってます
何処に行くのもワクワクして楽しいですね✨
ちんなおさん、コメントありがとうございます!
ええ〜!紙粘土でMH制作される、ちんなおさんに共感していただけるのはめちゃくちゃ嬉しいです!
ヤクト・ミラージュ、完成を楽しみにしております!