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自分が真に得意な作風を知るきっかけとなった思い出の作品。バンダイ1/60 MS-06ザクⅡ(現地改修機)

 こんにちは!プロモデラー林哲平です!

 今回は私が大学卒業してからホビージャパンに入るまでの2003〜2005年くらいまで。

 ファミレスの深夜バイトをしながらフラフラしていた時代に運営していた模型ホームページ「三野町防衛隊」よりバンダイ1/60 者専用ザク改造 ザク現地改修機を紹介します♪

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 若かったうえに当時は在野のアマチュアモデラーで、文章が緩かったりいろいろ辛口な発言もしていますが過去のことと許してやってください(笑)

 当時の文章は青春時代ということで青文字で表記しています♪

目次

忘年会のネタで1/60ザクを作る!

 久々に製作した1/60スケールのMSです。

 これだけの大きさのものを作るのは3年前に製作したTHE-O以来でしょうか。

「大きいメカなんぞもうこりごりだ!」とは思っていたのですが・・・展示会や模型店のショーケースなどで1/60のMSを見るたびに白熱するビッグスケール魂を抑えることは出来ませんでした。

 この作品はもともと忘年会のネタ用に製作したもので、理由あって製作期間が2週間しか取れず大変厳しい戦いとなりました。

 当初の予定ではMGズゴックとニコイチしたアッグガイを作る予定だったのですが、参考用にとたまたま手にとったMGの別冊を見たときから間違いが始まりました。

 MG別冊「GUNDAMWARS PROJECT Z」には小林誠氏が製作された1/72のTHE-Oとハイザックが掲載されています。

 記事に目を通すと制作期間は「1週間+徹夜1日」とありました。とんでもない作業スピードです。しかし,もっととんでもないのは私の脳みそでした。

 浅はかにも「小林誠が1週間でTHE-Oとハイザックをスクラッチ出来るのなら、2週間で1/60のザクを作るくらい余裕に違いない」と考えたわけです。アホですね。

 こうして私は地獄の扉をくぐることになったのでした・・・

いかに時短してわかりやすく目立つ作品を作るか?

 今回の製作テーマは「いかに手を抜いて見栄えのする改造をするか」です。

 ストレート組みならそこは部品の少ない旧キット。

 2週間もあれば余裕で完成させられるでしょう。

 しかし所詮は旧キットなのでただ作っただけでは大きいプラスチックの塊にしかなりません。

 おまけに今回製作するのは古今東西の1/60MSの中でも最凶の出来栄えを誇る「1/60シャア専用ザク」ときています。

 一応間接にポリキャップが入っているとはいえ、300円ザクにビッグライトをあてただけにしか見えないプロポーション。

 くわえて左肩はスパイクアーマーと一体性型ときています。1/100では別パーツだったのに・・・

 というわけで形がほとんど残らない大改造となりますが、まともに製作したらとても2週間の期限に間に合いません。

 そのために形状変更を最優先し、可動や表面処理はできる限り省略することにしました。

 頭の中で製作プランを組み立てたら作業に入ります。

各部の改修ポイント!

 <頭部>

 当初の予定ではキットのものを改修する予定だったのですが、形のあまりのひどさに予定を断念。

 結局スクラッチすることに。

 ウェーブの軽量エポキシパテで形を作り、モノアイにはムギ球を仕込んで発光ギミックを加えました。

 頭の形がマラサイなのは首の後から出る電飾用のリード線を隠すためで、最初からマラサイにしようと思っていたわけではありません。

 口内のダクトは0.3ミリプラ板で作っています。

 しかしこの頭のおかげでどこからどう見てもマラサイにしか見えない・・・



 <胴体・バックパック>

 胴体中心部は電池ボックスを入れるスペースを確保するためプラ板の箱組みです。

 胸は胴体から切り離したのちに肩をハの字型にカットしてから開いた穴をプラ板で塞ぎ、エポキシパテを盛って成型しています。

 胸のT字型も同じくエポキシパテ。

 腹部はMGズゴックの足首をひっくり返して使っています。

 胴体の形がF2なのはたまたまプライズのF2ザクの胴体が目の前に転がっていたからです。

 普通のザクの胴体にするのもF2の胴体にするのも作業量はたいして変わらないでしょうし。

 バックパックは電池ボックスと一体になっているため基本をプラ板の箱組みで作り、ジャンクパーツをペタペタとくっつけています。

 ここにはモノアイ点灯用のスイッチを着けたのですが、市販のスイッチパーツが手に入らず、仕方なくアルミホイルを組み合わせて自作することに。

 しかし極度に接触が悪く、モノアイの稼働率は北朝鮮空軍なみ。

 最終的にはスイッチを外して電池の入れ替えでモノアイ点灯を再現しています。




 <腰部>

 フンドシ部はプラ板の箱組み。スカートアーマーは油粘土で内側の形を作り、その上から均等に伸ばしたファンドを盛り付けて作りました。

 ファンドは硬化時間が遅いのでコタツに入れて強制乾燥させています。

 こうして形になったスカートアーマーですが、表面部分にはかなりの凸凹があったのでポリパテで埋めたのち、80番ペーパーで表面を慣らします。

 そのあとヤスリ目を消すために解きパテで荒めの鋳造表現を施しました。これで表面処理の手間がまるまる省けるわけです。

 鋳造表現だけではのっぺりしていて表情に欠けるので予備履帯をつけてみました。自分的にはマゼラアタックのものだと脳内補完しています。



 <腕部>

 キットの肩は長方形なので上の部分を切り取り正方形に形状変更。左肩は無い部分をプラ板で継ぎ足しています。

 シールドは十字に切断し、5mmプラ棒を挟み込んで大型化。

 そのままでは寂しいのでここにも予備履帯をつけています。

 スパイクアーマーもシールドと同じく十字に切ってプラ棒を挟み込み大型化。

 それでも小さいのでエポキシパテでフリルをつけています。

 スパイクはウェーブのバーニア+エポキシパテ。

 スパイクアーマーとの接合部には溶接跡をエポキシパテで再現しています。

 下腕は内側のふくらみが気になったので裏打ちしてから削り込んで整形。手首はMGドムそのままです。



 <脚部>

 今回唯一形をいじらなかった所です。

 キットの間接部分を切り飛ばし、ジャンクパーツで間接を作り直したくらいでしょうか。

 もちろん可動しません。



 <武装・その他>

 右手に持つビームライフル?らしきものは見ての通りMGリックドムのビームバズーカを加工したものです。

 パンツァーファウストはウェーブのバーニアと8ミリプラパイプから。

 表面処理を出来るだけしなくてすむように要所要所に鋳造表現を、間接部分は1から作るのは面倒くさいので全て流用パーツを使っています。



 <塗装>

 基本はジャーマングレー。

 ライトブルーやホワイトを加えて3段階のグラデーションをかけたのち、ダークイエローとダークグリーンで迷彩を施します。

 迷彩をしてツヤを消せば表面処理の粗が目立ちにくくなるうえにそれなりにリアルに見えるので手抜き法としてはお奨めです。

 間接は黒鉄色+黒にクロームシルバーでドライブラシ。

 メタリックでドライブラシするときはやりすぎて銀ピカにならないように気をつけましょう。



 

 というわけでなんとか2週間で完成したザク(マラサイ?)ですが、短期間で手を抜いて作ったわりには良いものが作れたと思います。

 作っている最中に一番心配していたプロポーションもそれほど変では無いのでホッとしています。

 なにしろ今回はバランス調整を1度もしなかったもので・・・

 ただ、結局のところ「1/60のMS」では無く、「ただの大きい模型」になってしまったことが今回の反省点です。

 写真で見ると解るのですが、ぱっと見ても全然1/60には見えません。

 ウェザリングやディテールでスケール感を演出するのが今後の課題のようです

1/60シャアザクはすごくいいキットですよ!

 いやあ、昔の自分、よくもまあ1/60シャアザクをあそこまで貶めるなんて!

 なんて酷いヤツなんでしょう!

 と、弁解なのですが、20年前は現在のように旧キットが再評価される前で、まわりの認識も「ただの古いキット」って感じだったんですよ。

 おまけに私も若く無軌道で尖りまくったモデラーでしたし、旧キットの良さが全然わかってなかったんです。

 まさかここまで酷いことを言っていたとは…… 過去記事を読み返してみてちょっとびっくりでしたね。

 ちなみに1/60ザクは価格2000円で30センチとビッグスケール、部品数も少なく、色分けがしっかりされているのでアニメ風ザクとしては気軽に作れる名キット。

 300円ザクとは違い、足首がしっかり可動し、関節もポリキャップが入っているので安定してるんですよね。

 成型色のままでも存在力抜群のガンプラなのでぜひ機会があれば組んでみてください♪

自分の「真の作風」を掴んだきっかけとなった思い出の作品!

 というわけで1/60ザク現地改修機でした♪

 これ持って友人の家に鍋忘年会しにいったのも、もう20年前になるんですね〜 懐かしい!

 持って行ってケースから出したら足が折れてて、

「じゃ、直してくるから!」

 とすぐさま自転車こいで家帰って、真鍮線で軸通し直して補修して、また持って行って鍋食いながらみんなに自慢したことを昨日のことのようにおもいだします(笑)

 と、昔話はさておきこのザク、「ガンプラ凄技テクニック」以上に自分の真のライフワークであるHJメカニクスで連載中の「機動模型超級技術指南」の原点となった作品なんです。

 超級技術指南では固定ポーズで、スケールモデルのパーツを多用し、迷彩やウェザリングで表面処理の手間を省くけれども、ド派手に仕上げる! という作例をよく作っています。

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 「関節は固定」

 「迷彩塗装」

 「ウェザリング」

 「デカイ」

 「スケールモデルのパーツを多用する」

 ってまさにこのザクで全て学んだことなんです。

 ホビージャパンでは数多くのプロモデラーさんが凄い作例を製作していますが、それぞれの得意分野や必殺技的な作風がありますよね?

 セイラマスオ氏であればプロポーション調整とマスオディテール。

 らいだ〜Joe氏であれば見栄えのするカッコいいウェザリング。

 私はHOWTOがメインの仕事で、いろんな技法を教えるためにメタリックやウェザリング、クリーンフィニッシュなどいろんな仕上げの作品を作りますが、実は私が本当に得意とする作風ってこれなんですよ。

 若くてパワーがあった時期とはいえ、2週間で完成したので「なるほど、この作風だったらいくらでも派手な作品を短期間で出来る!」と確信し、いつか機会があったら作例でやろう! という感じで今につながっているわけなんです。

 いろんなモデラーさんを見て思うのですが、その人と相性がよい技法や作風だと普通の人が10の経験値で1レベルアップするところ3とか5とかレベルアップします。

 おまけに作業スピードも断然早くなります。

 なのでどんどん上達しますし、どんどん楽しくなっていきます。

 そして、気がついたら凄い作品を作るモデラーさんになっていく。

 皆さんもぜひ、自分が「これは得意だ!」って感じたことは今の流行とかは気にせず、ぜひどんどんやってみてください。

 それはものすごく大きなことの第一歩かもしれませんよ♪

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この記事を書いた人

 こんにちは! プロモデラー林哲平と申します。

 2005年より模型専門誌ホビージャパンの編集部に在籍。

 趣味、仕事合わせて3000体以上のプラモデルを組み立てた経験を活かし、プラモの楽しさをみんなに伝えたい!と実体験から得た製作テクニックなどを日々発信しています。
 

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