こんにちは!プロモデラー林哲平です。
プラモ製作の必需品が接着剤です。
ですが、いろんな接着剤がいっぱいあって、なにがなんだかわからない! という質問をよく受けます。
というわけでこの記事ではプラモデルに主に使われる接着剤である
○スチロール用接着剤
○瞬間接着剤
○エポキシ系接着剤
○水溶性接着剤
4種類の接着剤を特性から長所、欠点まで徹底解説していきます♪
スチロール樹脂を溶接する、スチロール系接着剤!
まずはプラモデルの製作において最も基本の接着剤であるスチロール系接着剤から。
プラモデルはスチロール樹脂というプラスチックで整形されているものがほとんどです。
この接着剤はスチロール樹脂を溶かす力があるんです。
スチロールを樹脂溶かし、それが固まることでパーツが接着されるわけですね。
スチロール系接着剤の利点は硬化すると非常に強固に固まること。
なんせ素材同士を溶かして融着させているので、パーツが外れなくなるぐらいガッチリ固まるんですね。
この「溶かしてくっつける」という特性が合わせ目を消すのに適しており、合わせ目消しには欠かせないアイテムです。
欠点は接着面がヒケることです。
溶剤が揮発することで固まるので、抜けた溶剤の体積のぶんカサが減り、そこが少し凹んでしまうんです。
また、スチロールにしか効かないので異素材同士を接着することはできません。
ABS用接着剤も基本スチロール接着剤と同じ特性を持っています。
スチロール系接着剤で私がいつも使っていてオススメなのはタミヤのもの。
「白ビン」と呼ばれるドロドロタイプのものと、速乾性の流し込みタイプの2つを揃えておけば基本は完璧ですね♪
スピード工作には欠かせない、異素材接着も可能な瞬間接着剤!
瞬間接着剤は空気中の水分と反応することで非常に短い時間で硬化する接着剤です。
もともとはベトナム戦争で傷を負った兵士の医療用として使われたものですが、その一瞬で固まる接着性の便利さにより接着剤として広く普及したアイテムなんです。
格闘技ファンの人はリングでの応急処置として使われている人もご存知なんじゃないでしょうか?
利点はなによりも硬化が早いこと!
スチロール系接着剤のような溶剤系接着剤と違い待ち時間が無いのでどんどんパーツを接着していくことができます。
また、プラとゴムや金属など異素材を接着することも可能です。
化学反応で効果しているため、ヒケることも無いのでいい事ずくめに感じますが……?
瞬間接着剤の欠点は強度が低いことです。
硬化した接着部分に柔軟性が無く、力がかかるとすぐにヒビが入り割れてしまいます。
大きいパーツを早く接着したくてつい使い、完成後にボッキリした人も多いのではないでしょうか?
もちろん私はありますよ♪
なお、あとあまり推奨はできませんが、デザインナイフなどで指をうっかり切ったときの止血用として便利です。
一応、本来の使い方ですからね。
私は月に1回は瞬着で指先を止血している気がします(笑)
これはあくまで自己責任で使ってくださいね。
私はウェーブの瞬間接着剤を愛用しています。
低粘度速乾と高強度、この2つがあれば瞬間接着剤はだいたいOKです♪
強力な接着力!ゴム状の弾力がポイントのエポキシ系接着剤!
エポキシ系接着剤は2液を混合し、化学反応により硬化する接着剤です。
硬化するとゴム状になり、プラやゴム、金属などの異素材を接着することが可能です。
上の2つと比べて使っている人は少し少ないですが、超便利な接着剤なんです。
まず、化学反応により硬化しているのでヒケることはありません。
そして、ゴム状に固まるので接着面の強度が高く、非常に剥がれにくいのです。
プラモが揺れたとき、瞬間接着剤だとその揺れでヒビが入るのですが、エポキシ系接着剤だとその揺れをゴム部分が吸収してくれるんですよね。
なのでエポキシ系接着剤は強度のかかる部分の接着に非常に適しています。
こと接着力においてエポキシ系接着剤は欠点なしと言っても過言ではありません。
エポキシ系接着剤の弱点は値段が比較的高いことと、接着時間が長いことです。
100円ショップなどでも売っていますが、銘柄によってはカチカチに硬化するものがあり、これではエポキシ系接着剤の利点である衝撃の吸収力が発揮されません。
あまりにも安いものを使うときは、必ず一度硬化させて固まり具合を確認してみてください。
なお、プラモデル用よりも業務用を買うと導入価格は高いですがトータルコストで安く済ませることができます。
特に接着力が強力なものほど硬化時間がかかる傾向にあります。
ただ、普通にプラモを作るぶんならば、硬化時間は3〜10分くらいのものを選ぶと使いやすいです。
エポキシ系接着剤の利点として、下地の塗膜がしっかりしているのであれば、塗膜を傷つけずにキレイにはがせるというのもポイントです。
カーモデルの小物パーツの最終接着にエポキシ系が欠かせないのはこのようにリカバリーがしやすいからでもあるんですよね。
私のオススメはアルテコのF−05です。
業務用の大容量、かつ5分で固まるのでプラモデル用として使いやすいんですよ♪
合成糊がプラモに使える?水溶性接着剤の性能を知ろう!
基本、プラモを作るなら上の3つがあれば問題ありませんが、模型用として便利な第4の接着剤が水溶性接着剤。
木工用ボンドやピットマルチなど、いわゆる「合成ノリ」系の接着剤です。
水溶性接着剤の最大の特徴はプラや塗膜を侵さないこと。
なので塗膜や表面を傷つけずにパーツを接着することができるんです。
私はウォーハンマーのミニチュアの仮組み、スケールモデルの小物パーツの仮組み、エアモデルのキャノピーや翼端灯の接着などによく使っています。
欠点は乾燥時間が長いことと、接着力がそれほど高くないことです。
なので完成後に触らない小さいパーツの接着や、仮止め、曇らず硬化後は透明になる特性を活かしてクリアーパーツの接着などに使いましょう。
性質的にはエポキシ系接着剤と似ているので、場所や用途によって使い分けるといいですよ。
このあたりで私のオススメはピットマルチです。
とにかくトータルバランスが良くて使いやすいんですよね。
あと、ディオラマなどを作るのなら木工用ボンドは欠かせないところです。
接着剤をうまく使おう!
というわけでプラモデル用接着剤の解説でした♪
世の中にはいろんな接着剤がありますし、新しい強力な接着剤もどんどん出てきています。
新しい接着剤選びに悩むこともあるかもしれませんが、特性さえ知っていれば問題はありません。
ぜひ、効果的に接着剤を使ってプラモを楽しんでくださいね♪
「ガンプラ凄技テクニック」シリーズ大好評続刊中です!
プロモデラー林哲平が送る、週末の空いた時間に、誰でも簡単、お気軽に、カッコいいガンプラがあっという間に作れてしまうガンプラ製作本「ガンプラ凄技テクニック」。
シリーズ続々と続刊中で、「読むと初心者でも本当にそのとおり作れてしまう!」と、皆様からも大好評を頂いております。
実際に作った作品をモデラーさんから見せていただけることも多く、本を書く側として。
プロモデラーとして、そのたびにたまらない喜びを感じます。
「プラモデルを趣味として作ってみたいけれど、ちょっと難しそうで手が出ない」という人はぜひ手にとってみてください。
プラモデルの楽しさをを体感する、手助けになれば私は嬉しいです。
林哲平オリジナル作品『再生構築機界ケルバーダイン』展開中!
「世界の全てを模型店に」をテーマに、ありとあらゆる日用品で制作するオリジナルメカ
それが「再生構築機界ケルバーダイン」です。
子供の頃の、なにかを作りたくてしかたがなかったあの衝動を、いつの日も追い続けたい。
そんな気持ちで制作しているので、ぜひケルバーダインたちを見て、なにかを感じていただけると嬉しいです。
コメント