こんにちは。プロモデラー林哲平です
今回はホビージャパン2023年7月号を紹介します
今月は1/100エアリアルを軸に据えた水星の魔女特集や、嘉瀬翔氏の飛行機を使った大型ディオラマなどなど キャラクター、スケール共に充実した一冊となっております
フルメカニクスエアリアルの制作方法を初心者向けに解説!
今月号では私は2体の作例を製作しています
「君にもできる!! ガンプラ簡単制作法」で1/100フルメカニクス ガンダムエアリアルを成型色仕上げでカッコよく仕上げる方法を解説。
全てのパーツが色分けされており、大変出来のいいキットですので、メタリックカラーで差し色をしてちょっとワンポイントアクセントを加えたり
キット付属のテトロンシールをズレないように貼る方法や 、ツインアイをお手軽にシールでよりキラキラ目立たせる方法などなど
基本+αぐらいかな〜というテクニックが中心となっています
初心者モデラーさん向けの内容ですので、気軽に息抜きできる、週末モデリングのお供に読んでいただけると嬉しいです
「ガンプラ凄技テクニック」では第一話のザク降下シーンを製作解説!
連載記事 「週末で作るガンプラ凄技テクニック 懐かしのディオラマ編」ではガンダム第一話、サイド7にデニムとジーンのザクが降下シーンをモチーフに、
○スタイロフォームを使った崖の作り方
○旧キットのポーズを変更する方法
○1/144ザクの固定された足首を分割する方法
などを解説しています
そして……すみません! 今月号より、ガンプラ凄技テクニックは前後2回の連載となります
これは「ディオラマ✕旧キット」という、どうしても作業量の多いテーマを扱うため、どうしても一ヶ月では解説がページに収まりきらなかったんですよね
駆け足で製作工程を省くよりは、時間をかけてじっくりと技法を丁寧に解説したほうがより読んでいただけている読者さんのプラスになるとの判断で、前後回に分けることとなりました
みなさま、新しくなったガンプラ凄技テクニックをどうぞよろしくお願いします
ヨドバシカメラに展示された2023年7月号の作例を大紹介!
ここからはヨドバシカメラ新宿西口本店「ゲーム館2階」にて展示しているされているホビージャパン2023年7月号の作例を紹介していきます
かいん氏の1/100フルメカニクスエアリアル
表紙モデルであるかいん氏の1/100フルメカニクス ガンダムエアリアル
私などはこのキット、あまりにも出来が良すぎるため、改造とかもうまったく手が出せないのですが
そこは前号のキットレビューに次ぐ二回目の作例、しかも表紙モデルでるということで、キットの良さを活かしつつも全身に手が加わっています
プロポーション面では股関幅を詰め、関節の調節で足を眺めに調整
各部にプラ棒とプラ板から自作した、データ収集用センサーを想定したディテールをバランス良く追加され 、元々精密なキットですが、ビームサーベルに配置された金属素材などでさらに精密感を高めています
キットの特徴である二重構造のシェルユニットはは夜行塗料を使い、ブラックライトを当てると発光する表現を追加
表紙作例にふさわしい、かいん氏の熱い意気込み溢れる作品です!
コジマ大隊長氏の「魔女と花嫁」
コジマ大隊長氏の「魔女と花嫁」
『水星の魔女』第一話の決闘シーンを立体化したディオラマ作品です
見どころはなんといっても、手足を切断されるディランザ!
巧みなレイアウトにより、空中に浮かんでバラバラに飛び散る動きが見事に表現されています!
切断面の、ビームで溶断された赤熱した表現も見どころ
躍動感抜群の作品です!
nishi氏のHGガンダムエアリアル改修型
nishi氏のHGガンダムエアリアル改修型
こちらはホビージャパン本誌の記事ではプロ目線による徹底改修の解説用の作例として製作されており
現行模型基準でも最高峰の腕前を持つnishi氏による、「スキ」を一つずつ徹底的に無くしていく工程などはレベルアップをしたいモデラーさんにはすごく参考になるのではないでしょうか?
私はわずかに暖色に寄せたウォームホワイトの色味がすごくカッコいいな〜と思っております
nishi氏は工作もさることながら、絶妙な彩色の調色が得意なモデラーさんですので、ぜひとも実物をみていただきたい作品です
Blondy51氏のHGディランザ
Blondy51氏のHGディランザ
こちらは成型色を活かしつつも、ディテールアップパーツを組み込んで仕上げられた作品
「ディテールアップって塗装しなくていいの? ものすごく難しいのでは?」
と思っているモデラーさんに、ぜひとも見ていただきたい作品です
Re-ta氏のHGハインドリー
こちらはけんたろう氏がRe-ta氏にウェザリングを伝授する、というコラボスタイルで製作されたHGハインドリー
今回、Re-ta氏はウェザリングに初挑戦ということで製作されており、
実際に「ウェザリングやってみたい!」という初心者モデラーさんのチャレンジを、まさに先行して実線している作品ですので、ウェザリング初心者さんにぜひともみていただきたい作品です
不破優氏のHGハインドリー・シュトルム
不破優氏のハインドリー・シュトルム
美しい高精度なクリーンフィニッシュが得意の氏ですが、今回もその腕を遺憾なく奮った素晴らしい出来栄え
着目すべきはマスキングによるスプリッター迷彩の表現
私などはつい、塗膜が厚すぎて迷彩の境目に段差が出来たりするのですが、マスキングの境界がわからないぐらい滑らかに繋がっており、 パッと目立つ見た目以上の完成度を誇る、通をも唸らせる出来栄えの作品です!
ホビージャパン編集部スタッフ製作のガンプラも!
こちらは先に紹介した私のフルメカニクスエアリアルも含めた、ホビージャパンスタッフが製作した水星の魔女のプラモデル
どの作品も基本、成型色仕上げ+αの構成で、初心者モデラーさんでも安心してできる内容になっているので、誌面の制作法と合わせて役立てていただけたら嬉しいです
山田卓司氏のPLAMAX イングラム&クラブマンハイレッグ
山田卓司氏のPLAMAX イングラム&クラブマンハイレッグ レイバーカラーVer
レイバー同士が対決する印象的なシーンを、情景王山田氏が劇作!
着目すべきはこの舞い散るサクラ!
このシーンといえば私は旧OVA版の印象がめちゃくちゃ強く、桜があるとあの頃を思い出して感涙です!
ああ、Bクラブショップの通販でクラブマンハイレッグ買うか死ぬほど迷ったなあ…… と、パトレイバー全盛期に想いを馳せてしまう、心動かす作品です!
武蔵氏の海洋堂ARTPLAスレイプニール
武蔵氏の海洋堂ARTPLAスレイプニール
こちらは全て筆塗りにより仕上げ
下地に白い色を塗り、淡い色で少しずつ着色していく「染塗り」の技法により、ルーンマスカーのファンタジックな世界観に抜群にマッチする美しいフィニッシュとなっています
ベースの溶岩はディテールではなく、全て彩色で再現されたもの
記事では実践的な制作法も詳しく解説されており、読むと「自分にもできるかも?」と思わず筆を動かしたくなるような作品です!
おれんじえびす氏のMODEROIDエステバリス陸戦フレーム
おれんじえびす氏のMODEROIDエステバリス陸戦フレーム
股間、肩を改造、可動範囲を拡大し、よりアクション製を高めている作品です
見ていると、昔「いつか上手くなったら作ろう」と実家の押入れに封印したウェーブのソフビキットを引っ張り出したくなってきます♪
澤武慎一郎氏のMODEROIDエステバリス空戦フレーム
澤武慎一郎氏のMODEROIDエステバリス空戦フレーム
脚部をしっかりと開き、安定して自立可能とするために主に下半身の関節部や装甲部分を調しつつ
ブルーとオレンジと対極にある、うっかりマスキングがはみ出たら大変なカラーリングもバッチリと仕上げられた作品です
國谷忠伸氏のMODEROID鉄人28号
國谷忠伸氏のMODEROID鉄人28号
グリコ、グリコ、グリコ〜♪ な、1963年から展開された初代TVアニメシリーズをイメージした、モノクロのディオラマとして製作されています
注目はなんといっても後ろのビル!
鉄人やアニメの雰囲気に、絶妙にコントロールされてピタリとフィットされたディフォルメのサジ加減に匠の技が光ります
ビルの町にガオー!と見ると思わず口ずさみたくなるような、ノスタルジーな心動かす作品です!
不破優氏のHGオリジンガンダム ククルス・ドアンの島版
不破優氏のHGオリジンガンダム ククルス・ドアンの島版
映画版のCGに近づけるため、全身くまなく手が入っています
フンドシ部分の大型化、ヒサシにプラ板を貼り付けての目つきの見え方の改修、胴体を縮めたぶん、モモを伸ばしてバランスを取るなどなど、ちょっとブログでは書ききれないレベルです
そして、なにより改造したことを全く感じさせない、極めて高度な仕上げのテクニックが素晴らしい!
本当にうまい人って、凄すぎて「何をしているか、気づかせない」んですよね 見ているとショーケースの前から動けなくなる、神作品です!
小池徹弥氏のオカバンゴ・デルタ
小池徹弥氏のオカバンゴ・デルタ
海洋堂ARTPLAシリーズの動物を使い、ベテランディオラマモデラー小池氏が総計8体ものディオラマを製作!
展示されているのはそのうち最も大型な、シロサイとハシビロコウを使ったボックスディオラマ!
前後でそれぞれサイズを変えたモデルを配置してパースを強調 まどから覗き込むと、小さい箱の中なのに、まるでパノラマ写真のように広がって見える……!
往年の名連載「WILD LASH 真・世界動物誌」が戻ってきたかのようで、昔からのホビージャパン好きにはたまらない作品となっております
Rikka氏のフレームアームズ・ガール金剛
Rikka氏のフレームアームズ・ガール金剛
マガツキ以来の完全新規金型モデルと注目を浴びる金剛を、ガールズモデルの製作には定評のあるRikka氏がキットの魅力をあますところなく伝えるように丁寧に製作!
艦船がモチーフであるだけに、各部には艦船模型風の表現が加えられています
注目ポイントは胸部装甲! 本来グレーの部分ですが、下地の肌が透けるような表現をグラデーション塗装により加えており
「肌色の色味がギリギリ見えるか見えないか」のギリギリの勝負を大艦巨砲主義な艦隊決戦で勝利を収めているポイントなので、ぜひとも誌面で色味を拝見していただきたい作品です!
Rikka氏のコトブキヤ ヴェルルッタ
Rikka氏のコトブキヤ ヴェルルッタ Gothic clothing ver
3Dプリンターでゴシック風の衣装を自作し、キャラのイメージを尊重しつつも、見事にお着替え!
胴体〜スカートまでは一体出力のプリントパーツなのですが、これをここまで美しく塗り分けるテクニックには感嘆します!
最新技術と魂の気合、2つを兼ね備えた作品です!
長徳佳崇氏のヴォルパノヴァ市街地戦仕様
長徳佳崇氏のヴォルパノヴァ市街地戦仕様
現用AFV風のドット柄迷彩が特徴のこの作品、展示状態はスタンディングフォームですが、なんと!ガンヘッド風の戦車形態に変形するんです!
個人的には変形状態が好きなので、ぜひ誌面でそちらも見ていただけると嬉しい作品です
リョータ氏のMODEROIDエヴァンゲリオン初号機
リョータ氏のMODEROIDエヴァンゲリオン初号機
より手足のつながるラインが自然になるように、関節周りのスキマを中心にパテで加工
アクションと作品の安定性を両立させれため、POM製の関節に焼き付け塗装を施すなど最新の技法も取り入れられております
MIDEROIDをより作りこんで楽しみたいモデラーさんにオススメな作品です
不破優氏のHGオリジンガンキャノン ククルス・ドアンの島版
不破優氏のHGオリジンガンキャノン ククルス・ドアンの島版
胴体の延長や腕の短縮でプロポーションを調整しつつも、なんと言っても目を見張るのは赤の発色!
Mrカラーのモンザレッドを使用されているとのことですが、あまりにも鮮やかに発色しており、赤に目が釘付けになってしまうんです
写真だと伝わりきらないのが残念でなりません!
嘉瀬翔氏による大型ディオラマ「rope-嘆き−」に注目!
ホビージャパン2023年7月号で、個人的に私がオススメなのは嘉瀬翔氏による大型ディオラマ「rope-嘆き−」です
嘉瀬氏はAFVモデルがメインのモデラーさんですが、今回は内部まで再現された1/32スケール飛行機を二機使い、内部構造を上手く活用した墜落現場を大迫力で製作されています
墜落現場を見物にくる農民や、負傷しながらも命からがら脱出したパイロットが配置され、墜落して動かない飛行機という「静」に人物という「動き」でストーリーを語る、超正統派のディオラマとして完成されております
田仲正樹氏による連載記事「サンライズメカニック列伝」 今回は『機甲戦記ドラグナー』より、1/144のダイン!
あと、オススメなのはやはり!田仲正樹氏による連載記事「サンライズメカニック列伝」 今回は『機甲戦記ドラグナー』より、1/144のダインを製作を製作されているのですが……これがまた、めちゃくちゃカッコいいんですよ!
私は製作文の「そして8年の月日が流れました」に最高にグッときました
作品でも、文章でも読ませる これぞ模型雑誌の作例の王道であると、いつも田仲氏の作品には食い入って見てしまいます
ホビージャパン2023年7月号をよろしくお願いします
というわけでホビージャパン2023年7月号の解説でした
まだ読んでない、というモデラーさんはぜひこちらの公式ページよりお求めください
読者のみなさま、今月もホビージャパンを隅々までじっくりと楽しんで読んでいただけると幸いです
「ガンプラ凄技テクニック」シリーズ大好評続刊中です!
プロモデラー林哲平が送る、週末の空いた時間に、誰でも簡単、お気軽に、カッコいいガンプラがあっという間に作れてしまうガンプラ製作本「ガンプラ凄技テクニック」。
シリーズ続々と続刊中で、「読むと初心者でも本当にそのとおり作れてしまう!」と、皆様からも大好評を頂いております。
実際に作った作品をモデラーさんから見せていただけることも多く、本を書く側として。
プロモデラーとして、そのたびにたまらない喜びを感じます。
「プラモデルを趣味として作ってみたいけれど、ちょっと難しそうで手が出ない」という人はぜひ手にとってみてください。
プラモデルの楽しさをを体感する、手助けになれば私は嬉しいです。
林哲平オリジナル作品『再生構築機界ケルバーダイン』展開中!
「世界の全てを模型店に」をテーマに、ありとあらゆる日用品で制作するオリジナルメカ
それが「再生構築機界ケルバーダイン」です。
子供の頃の、なにかを作りたくてしかたがなかったあの衝動を、いつの日も追い続けたい。
そんな気持ちで制作しているので、ぜひケルバーダインたちを見て、なにかを感じていただけると嬉しいです。
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