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ガンプラとスケールモデルの融合!リアリティを極限まで高めた陸戦型ZZガンダムをヴィネットで仕上げる!!「 HJメカニクス01」「ガンプラ凄技テクニック 機動模型超級技術指南」掲載作例。

 こんにちは!プロモデラー林哲平です!

 「究極の作例を作る」をテーマに予算、時間、手間など全てのリミッターを解除して思いのままにガンプラを作るホビージャパンメカニクスの連載企画「林哲平の機動模型超級技術指南」

 HJメカニクス01号掲載の記念すべき第一回は「1/100 陸戦型ZZガンダム」

 アニメーションと商品化という枷を取り払われた小林誠氏が描いた「真実のZZ」を、ZZ放映当時に流行していたミニタリーテイストを取り入れた作風そのままに現代に復活!!!

 MG Ver.kaシリーズでもトップクラスの出来栄えのZZガンダムをベースに、固定ポーズの方法やジャンクパーツの使い方、ヴィネットの主人公に迫力を出す方法などを解説しています。

 HJメカニクス01についての解説記事はこちら

目次

陸戦型ZZガンダムとは?

 陸戦型ZZって何? という人もおそらくいると思うので解説すると、1986年にホビージャパンから発売された別冊「MOBILE SUIT GUNDAM ZZ 」の表紙モデルです。

 今は亡き原田正彦氏による立体物で、小林誠氏の描く陸戦型ZZを圧倒的な迫力で造形。ジャンクパーツを用いたディテーリングや特徴的なインクスポット迷彩など、一目見れば二度と忘れられないインパクト抜群の作例です。

 自分が常に胸に秘める想い「伝説の作例を作る!!!」の道標となる作例の一つとして、いつかは挑戦してみたいと考えていたMSでした。

ガンプラ最上級者向けHOWTO「機動模型超級技術指南」とは?

 HJメカニクスの創刊にあたり、ホビージャパンの木村学編集長から「なにかやってみたいことない?」とお誘いがありまして。

 「オラザク選手権やGBWCの優勝、プロモデラーを目指すガンプラ最上級者向けの超絶HOWTOをやってみたい」

 とダメ元で企画書を提出してみたところ、なんと快くOKをいただけたんです!

 というわけでずっと心に温めていた作例の製作が実現したわけなんです。

 木村編集長、本当にありがとうございます!!!

 記事タイトルの「林哲平の機動模型超級技術指南」ですが、もちろん元ネタはこちら

 高石誠氏の名著、「戦車模型超級技術指南」です。

 現在のウェザリング技法の全てを確立し、ウェザリングの概念を変えた高石氏の作品は大好きで、この本は自分のバイブルとして今でも手放さずに持っています。

 いつか自分の名前を付けた企画をやることがあったら絶対にこの本からとろう、って心に決めてたんですよね。

 戦車ではなくガンプラでも、成型色フィニッシュでも、現代ウェザリングの基本概念が解説されているので絶対に持っておいた方がいい一冊ですよ♪

スケールモデルのパーツでリアリティを強調する!

  MSにてっとり早くリアリティを与える方法…… それはズバリ!実在する兵器や機械のディティールを加えるのが一番なんですよね。

 スケールモデルのパーツって、キャラクターモデルに比べると圧倒的にディティールが多いです。

 このディテールって兵器が機械として動くために必要なディティールで、ただ空間を埋めるための記号じゃないんですよ。

 そういった「本物のディティール」をどんどん注入することで「キャラクターロボの玩具」を「本物の兵器の縮尺模型」のように見せることが出来るんですよね。

 人間は実際に見た経験のあるものからしか「リアル」を感じることができないもの。

 ドム・トローペンのサンドフィルターはBf109のものですし、バーニアだって元は宇宙ロケットから、ザクマシンガンのドラムマガジンはルイス機銃、とMSのデザインだって本物の兵器の要素を数多く取り入れたものなのはご存知の通り。

 作画や商品化の制約が無いワンメイクの立体物ならいくらでもスケール的要素を織り込めるので、とにかくパーツを組み込んでみましょう…… ということを写真と文章で解説しています。

 「陸戦型」と言いつつも、実は陸戦型ZZガンダムは変形する前提なので、イラストを見ると航空機的要素が非常に強いのでAFVモデルのパーツよりも航空機のパーツを多様しています。 

 スラスターノズルやウイングなどはF–14のものに交換。

 こういった「本物の飛行機のパーツ」がついていると、わかりやすく「リアル」に見えるんですよね。

 完成するとこんな感じに。

 いかにも「本当に飛びそう!」な感じがしてきませんか?

小さいやられ役を用意する!

 せっかく可動の制限の無いヴィネットに仕上げるなら、主人公のMSはできる限り強く見せたいですよね。

 そんな時に役立つのがやられ役です。

 今回は元ネタとなったホビージャパン別冊「MOBILE SUIT GUNDAM ZZ 」掲載の漫画でZを救援にくるZZが敵MSを踏み潰すシーンをイメージし、やられ役としてマラサイを用意してみました。

 ところで、この当時の陸戦型ZZって小林誠氏のイラストでも、近藤和久氏のイラストでもとにかくサイコガンダム並みにデカく描かれているんですよね。

 そこでマラサイはあえてZZより一回り小さいHGを使用し、ZZの巨大感を強調する手法を取っています

 胴体を中心でぶった切り、ZZ用に用意した余ったディテールアップパーツをペタペタ貼り付けてお手軽ディテールアップ。

 動力パイプをスプリングに変えておくのもこの当時の雰囲気を強調するには欠かせないポイントですね。

 塗装はZZ別冊収録の小林誠氏の作例に合わせてダークグリーン一色でさっと塗装。

 マラサイって本当にグリーンが似合うMSですよね。

 敵の首を掲げるというのは強さを強調する最高のポーズ。

 ウォーハンマーのミニチュアなんかでよく見られるポーズですよね。

 頭を持たせるときは手の平に直接接着し、筆塗りで塗り分けるのが手取り早いですよ♪

ダブルビームライフルをより航空機に!

 ZZガンダムのトンデモ武器といえばダブルビームライフルです。

 よく、「人が乗ってるビームライフルとかナイでしょ!」と突っ込まれるポイントですが、せっかく人が乗っているのですから、単体で活動できる航空機として製作し、よりリアリティを高めています。

 方法は簡単で、とにかく飛行機モデルのパーツを組み込んでいだけ。

 砲身はハセガワの1/72 F104スターファイターの胴体で、コクピットはFトイズの1/144ファントムから流用しています。

 完成するとこんな感じに。

 キャラクター的要素の強かったダブルビームライフルが一気にリアルな仕上がりとなりました。

 それにしても、これには絶対乗りたく無いですね〜♪

ホワイト&ブラック法によるカラーモジュレーション塗装!

 固定ポーズのヴィネットを普通のガンプラのように全部のパーツをバラして塗るのは大変です。

 ここはスケールモデルのカラーモジュレーションの技法である「ホワイト&ブラック塗装法」を応用。

 ノンマスキングで手っ取り早く大型モデルを塗装する方法を解説しています。

 こちらに詳しい方法を解説しているので興味ある人はぜひ読んで見てくださいね♪

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前後に長い80年後半頭部を作る!

 陸戦型ZZが登場した1980年代後半はエイリアンのように前後に長い頭部デザインが流行しました。

 センチネルのEx-Sガンダムやゼクツヴァイ、Z-MSVの百式改などがわかりやすいですが、陸戦型ZZも前後に長い頭部デザインをしています。

 そこでエポパテを使って大幅に頭部を延長、当時のデザインを再現しています。

 ZZの魂であるハイメガキャノンは同じ小林誠氏のデザインということでバンダイ1/1000宇宙戦艦ヤマトの波動砲を流用。

 そもそもZZのハイメガキャノン自体が波動砲ですからね♪

 これは昔からやって見たかったんですよね♪

 完成するとこんな感じ。

 ツインアイはクリアーではなく、筆を使ってシタデルカラーのレイヤリング技法を使ってボワっと淡く光るようなグラデーションをかけて仕上げています。

 クリアを活かして塗るのもいいんですが、80年代後半のガンダム系MSのツインアイといえばこういう塗りが多かったですし、当時感を出す、というのも作風に統一感を出すための重要なポイントですね♪

スーパーロボットZZガンダムの「真実の姿」!

 MSのデザイン自由度がこれほどまでに寛容なのはZ、ZZ時代にさまざまなメカデザイナーが入り乱れて斬新なデザインを発表してデザインに対する許容度を大きくあげたことがルーツです。

 大河原邦夫氏、藤田一巳氏、永野護氏、出渕裕氏、明貴美加氏、そして小林誠氏。

 同一の作品で、ここまで多くのデザイナーが参加したロボットアニメ作品はそれまでにありませんでした。

 バイアランやキュベレイ、ハンマハンマにドーベンウルフ。

 以後40年以上続くガンダムシリーズの中でも、この時代ほど個性的なMSが多い作品はありあせん。

 だからこそ我々は「形式番号」と「MS」である、ということを説明されたら大抵のロボットデザインはMSに見えるようになりました。

 そんな自由な時代のMS中でもガンダムファンの評価が最も割れるMSを上げるとなると、それはZZガンダムではないでしょうか?

 やれスーパーロボットすぎる、頭にメガ粒子砲とかありえない、ゴテゴテしすぎて美しくない……

 絶賛されることが多いZと比べると「ZZは嫌い」という人を結構見かけるんですよね。

 MS、特に主役機ともなると作画の都合や玩具やプラモデルとして販売するため、プロダクトデザインとしてデザイナーの個人の個性はかなり制約を受けるもの。

 だからZZがスーパーロボットっぽいのは小林誠氏の責任では無いのですが……

 そんなアニメ版デザインのアンチテーゼなのかもしれませんが、当時小林誠氏がイラストや作例で自由に表現した数多くの「ZZ」はどれもずば抜けて魅力的なんですよ!

 「オレのZZは本当はこうなんだ!」

 という、魂の叫びをイラストから感じるんですよね。

 今回の作例はそんな「真実のZZ」に、少しでも近づけることが出来たのではないか?と自負しております。

 というわけで陸戦型ZZガンダムでした!

 この作例は「固定・大きい・派手に見せる」という模型コンテスト向けのスタイルなので、上位入賞を狙う人はぜひ製作記事を参考にしてみてください。

「ガンプラ凄技テクニック 機動模型超級超級技術指南」に収録されています!

 こちらの陸戦型ZZガンダムですが、私の著書「ガンプラ凄技テクニック 機動模型超級技術指南」に、連載当時よりも完成写真を増やしてより詳細に収録しています。

 この記事を見て「いいな!やってみたいな!」と感じていただけたら、こちらの本も読んでいただけると私はすごく嬉しいです♪

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この記事を書いた人

 こんにちは! プロモデラー林哲平と申します。

 2005年より模型専門誌ホビージャパンの編集部に在籍。

 趣味、仕事合わせて3000体以上のプラモデルを組み立てた経験を活かし、プラモの楽しさをみんなに伝えたい!と実体験から得た製作テクニックなどを日々発信しています。
 

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