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ワンダーフェスティバルで生活費を稼げ!……たら良かったなあ〜。これからワンフェスに出たい人へ。私の成功と失敗の経験、全部教えます! その④独りよがりのアレンジは死を招く!

 こんにちは!!! プロモデラー林哲平です!!!

 懐かしきワンフェス修行時代、第4回はこれまた失敗の歴史のご報告です。

 ヘルミッショネルの好調に浮かれた私はまたもやブルーナイト系のATで勝負に出ます。

 お題に選んだのはライジングトータス!!!

 でも、このライジングトータスの作り方を間違った方向に突き進ませたおかげでひどい目にあうんですよ。

 まあ自業自得なんですけどね…… 

目次

箱っぽくて作るのが楽そうなライジングトータスを選ぶ

 ブルーナイトのATの中でも、それなりに人気があり、かつ作るのが楽そうなATはどれだろう?
 
 という量産化と制作コストの楽さを再重視した結果、ライジングトータスを製作することにしました。

 ライジングトータスは直線主体のデザインで、ブロック数も少なく作りやすいんですよ。

 当時は模型雑誌への持ち込み用の作品なんかも平行して作っていたので、ワンフェスだけに全エネルギーをかけるわけにはいかなかったんですよね。

 で、申請してからしばらくして。

 なんと自分の後にエクルビスを1/24で売り出しためちゃくちゃ上手いディーラーさんとライジングトータスがかぶることが判明しました!!!

 でも、私は勝算があったんですよ。

 アレンジ大作戦です!!!

 ヘルミッショネルは通常設定ではないイラスト版を製作したおかげで売れました。

 で、ライジングトータスはずんぐりした通常のAT体型をしているんですよね。

 これをブルーナイト後半に登場する、テスタロッサやゼルベリオス風のプロポーションにアレンジして作ればめちゃくちゃかっこよくなるに違いない!!! って思ったんですよ。

 で、私はノリノリでちょっと足の長いヒロイックな体型にアレンジし、しかも塗装も当時ハマっていた筆塗りのドイツ軍えんどう豆パターン風の迷彩で仕上げるという自分のセンスを全面に押し出した完成見本で仕上げるという暴挙にでたわけです。

 自分の中ではもう、めっちゃ格好良かったんですよ!!!

 友人たちの評判も良かったですし。

 これで次のワンフェスもいただきじゃ!!! と鼻息荒く当日を迎えたのですが……

なぜ俺のライジングトータスは全然売れないんだ!!!

 で、ワンフェス当日。

 ヘルミッショネルと同じ感じで売れるだろう…… と思って20個複製して持っていったら。

 5個しか売れなかったんですよ。

 で、他のライジングトータスを出していたディーラーさんは見事に完売していました。

 再販したヘルミッショネルのおかげで赤字にはなりませんでしたが、15個のガレキを家に持って帰るのは大変で、猛烈に屈辱でした。

 24のATのレジンキットって結構な重量になりますからね。

 なぜ自分のライジングトータスは売れなかったのか?

 押入れに売れ残りを詰め込みながら、「ああ、ファミレスの深夜バイト入れまくらないと生活がヤバイなあ」と嘆きつつ、売れなかった原因を分析した結果…… 自分が途方もない間違いを冒していたことに気が付いたんです!

お客さんが欲しいのは「ライジングトータス」であって「俺アレンジの超かっこいいオナニーメカ」ではない!!!

 そうなんです。

 お客さんが欲しかったのは「ブルーナイトのライジングトータスというキャラクター」であって。

 私が独りよがりにアレンジした「変に足が長い、最近の若造がすきそうなアレンジしたライジングトータスっぽいメカ」じゃなかったんですよ。

 私は自分が作りたいもの、自分のセンスを過信しすぎて本当にお客さんが欲しいものが見えていなかったんです。

 もちろん、ワンフェスでは各々のモデラーさんなりの個性あるアレンジの造形で人気がある人もたくさんいます。

 でも、私はそのレベルにはまったく到達していませんでしたし、アレンジしたモデルを売り続ける気力もありませんでした。

 しかも設定の塗装ではなく、オリジナルの迷彩塗装で仕上げたわけで。

 おそらくこれを見て「ライジングトータス」だとひと目でわかる人ってほとんどいなかったんじゃないでしょうか?

 5個売れただけでも奇跡だったんですよ。

 作家としての個性を出す、という意味においてアレンジは大切なものかもしれませんが、商売となるとそれ以上に「お客さんの好み」が大事になってきます。

 最大公約数的な造形の重要さはここにあるんです。

 私はホビージャパンでミキシングビルドのオリジナル作例を作るとき、「その世界感に合っているか」「本当にいそうか」というところをものすごく注意して作っているのですが、それはこの時の経験あってのことなんです。

ワンフェスへの挑戦は続く

 それでもワンフェスへの挑戦は続きます。

 実はこのライジングトータスを売ったあとにホビージャパン編集部で働くことになりまして。

 とてもじゃないけど1/24のATなんて作れる時間が無くなっちゃったんですよね。

 で、いろいろ会場を下見して出した結論は「アストラナガンを作る」ということでした。

 次回「アストラナガンで最終決戦篇!!!」をお見逃し無く!!!

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この記事を書いた人

 こんにちは! プロモデラー林哲平と申します。

 2005年より模型専門誌ホビージャパンの編集部に在籍。

 趣味、仕事合わせて3000体以上のプラモデルを組み立てた経験を活かし、プラモの楽しさをみんなに伝えたい!と実体験から得た製作テクニックなどを日々発信しています。
 

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