こんにちは!プロモデラー林哲平です。
シタデルカラーやファレホのような外国製の高性能水性エマルジョン系塗料を使ったことはありますか?
○水で薄められる !
○筆塗りに適している!
○人体に安全 !
と使いやすさゆえに急速に広まっていますが、なぜこのような特性があるのでしょうか?
今回は誰も教えてくれなかった、水性エマルジョン系塗料の特性について徹底解説していきます♪
そもそも「エマルション」って何?
そもそも「エマルション」とは一体なんなのでしょうか?
エマルションというのは科学用語で、本来溶け合わない、2つ以上の液体が混ざっている状態の液体のこと。
わかりやすい例を言えば、本来混ざらないはずの水と油を混ぜて作ったドレッシングはエマルションです。
2つの液体をエマルションにすることを「乳化」といいます。
食品ラベルによく「乳化剤」と書いてあるのは本来混ざらない素材をエマルションしやすくする添加物なんですね。
「エマルション系塗料」というのはこのように本来であれば溶けて混ざらない、さまざまな素材を混ぜて作られている塗料全般を指す言葉です。
その中でも「水性」と言われているものは水を溶剤として使っているから「水性エマルション系塗料」と呼ばれているのです 。
エマルション系塗料がパーツに定着するしくみ!
それでは水性エマルジョン系塗料が定着する仕組みについて解説しましょう。
水性エマルジョン系塗料には溶剤としての水分、塗料と塗料を表面に固着させるための油性成分、それらを乳化しやすくし、エマルションとするための界面活性剤成分が入っています。
パーツに塗ると水分が蒸発し、塗料成分と固着用の油性成分だけが残って表面に定着するのが塗装原理です。
これが筆塗りにとって非常に重要なポイント。
防水製の油性成分により定着しているので、上から水が溶剤の塗料を改めて塗っても下地の塗料は溶け出しません。
なのでラッカー系塗料やエナメル系塗料を筆で塗り重ねたときのように、下地が溶け出して筆ムラが出て表面が汚くなるようなことが無いんです!
この特性ゆえに、水性エマルジョン系塗料は筆塗りに極めて適した塗料となっているのです。
水性エマルジョン系塗料はなぜ振ってから塗るのか?
水性エマルジョン系塗料を使うときは事前にしっかりと振っておきましょう。
これは内部で分離している液体を混ぜてエマルションにするためです。
ドレッシングを使う前にしっかりと振って使うのと原理は同じ。
「塗料スティックで混ぜても効果は薄い、振れ!」と言われているのはこのためなんですね。
なぜ水性エマルジョン系塗料は安全なのか?
なによりも塗料の希釈成分が水だというのが一番大きな理由です。
プラモデル用として一般的なラッカー系塗料は有機溶剤であるラッカーシンナーを希釈成分として使っており、これは大量に吸うと息が苦しくなったり、シンナー中毒を起こすなど体に悪いのですが、水は命の源ですからね♪
シタデルやファレホ、アーミーペインターやコートデアームズなど高性能な水性エマルジョン系塗料塗料は主にヨーロッパで発展を遂げています。
これはヨーロッパの塗料安全基準が非常に高いため、日本のように匂いの強い有機溶剤を使うラッカー系塗料を一般家庭の模型用として使うのが難しかったのもあるのです。
安全基準に厳しいヨーロッパで発展したからこそ、人体に安全であるという特性をよりアップデートする方向性で進化していったのです。
かつては水性エマルジョン系塗料でも人体に有害な成分(カドミウムなど)が使われていることがあったのですが、安全基準の進化によりどんどん取り除かれてより安全になっています。
なぜ水性エマルジョン系塗料は高いのか?
最後に水性エマルジョン系塗料の価格について。
輸入物である、ということを差し引いても高性能な水性エマルジョン系塗料は高いです。
私も初めてシタデルカラーを買ったときは「この小さいので500円!」とびっくりしました。
ではなぜこんなにも水性エマルジョン系塗料は高いのでしょうか?
それはズバリ、製造過程がラッカー系塗料のような有機溶剤系塗料よりも複雑なためです。
顔料、界面活性剤、固着成分など混ぜるものが多く、配合のバランスなど生産過程が難しいのです。
水性エマルジョン系塗料の未来は明るい!
というわけで水性エマルジョン系塗料の解説でした!
高価ですが、画材用の油絵の具と比べるとそれほど高いわけではありませんし、欲を言えばもっと国内で発展して、昔のシタデルカラーみたいに一瓶360円くらいでバランスがいい国産の塗料があればいいな〜と願っています♪
今回の記事を書くにおいてこちらの記事を参考にしています 塗料のしくみをより詳しく理解したい人はぜひ読んでみてくださいね♪
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