塗膜が強く、乾燥も早く、しかも安い!日本の模型文化を牽引してきたプラモデル用塗料の王者、ラッカー系塗料のすべてをプロモデラーが徹底解説!!!

 こんにちは!プロモデラー林哲平です。

 プラモデル用塗料にはいろんな種類がありますが、日本で最もたくさんのモデラー使っている最強の塗料は間違いなくラッカー系塗料です。

 私は簡単HOWTOや初心者向けの制作講座だと水性塗料を中心に使うことが多いですが、基本はラッカー系塗料を一番のメイン塗料として使っています。

 ○乾燥が早い

 ○塗膜が強い

 ○安い

 というメリットもありますが、

 ●匂いがキツい

 ●健康には良くない

 などのデメリットもあり、 他の塗料以上に特徴がはっきりした塗料でもあります。

 今回はそんなプラモデル用塗料の王者、ラッカー系塗料について徹底解説します♪

ラッカー系塗料は「ラッカー」では無い?

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 まず、プラモデル用のラッカー系塗料はニトロセルロースを使った本物の「ラッカー」ではなく、アクリル樹脂て作られた着色成分を有機溶剤で溶かした「合成樹脂塗料」であるということです。

 これはMrカラーとガイアカラーのラベルですが、しっかりと「合成樹脂塗料」と書かれています。

 本物の「ラッカー塗料」は溶剤成分が強すぎてプラスチックを侵しやすいのでプラモデルには使えません 。

 合成樹脂塗料は使い勝手がラッカー塗料と似ているため「アクリルラッカー」と呼ばれ、いつしかラッカー塗料と混同してしまう人がすごく増えてしまったんですね 。

 だからラッカー「系」塗料と呼ばれているのです。

○乾燥が早い!

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 ラッカー系塗料は他のアクリル系やエナメル系塗料と比べ圧倒的に乾燥が早いのが特徴。

 ラッカー系塗料は揮発性の高い有機溶剤で希釈されています。

 「揮発性」とは液体の蒸発のしやすさのこと。

  有機溶剤は沸点が低く、塗料を塗るそばからどんどん蒸発するので塗料の乾きが早いのです。

  ゆえに大量の塗料を一気に吹き付けるエアブラシやスプレー塗装に向いています。

 逆に筆塗りに使うと塗料が早く乾燥しすぎてムラが出やすいのであまり向いていません。

 筆で塗るときは乾燥をわざと遅らせる効果がある溶剤のリターダーを混ぜて使いましょう。

塗膜が強い!

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 ラッカー系塗料は全てのプラモデル用塗料の中で、最も強固な塗膜が強みです。

  ラッカー系塗料に含まれる有機溶剤はわずかにプラの表面を溶かすぐらいの溶解度に調整されています。

  塗料とプラを溶かして固着させる、つまりわずかに「塗料がプラモの表面に接着されている」ため剥がれにくく、塗膜が強いのです。

 アクリル系やエナメル系は基本的に「パーツの上に乗っている」だけなので、塗膜の強固さはラッカー系が抜群なんですよ。

○価格が安い!

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 ラッカー系塗料は他の塗料と比べると割安になっています。

 これは塗料の原料となるアクリル樹脂は値段が安いんですね。

  塗料の製造工程も色素となる顔料や染料に有機溶剤や塗料成分とのつなぎとなるクリアーやフラットベースのような体質素材を溶かすのがメインとなるためコストが低く抑えられるのです。 

  需要が高く、大量に生産されているのも安さの理由です。

●健康には良くない!

 ラッカー系塗料は人体に安全ではなく、健康に悪いのが難点です。

  これは溶剤に含まれているトルエンやキシレンなどよるものです。

  吸うと喉が痛くなったり、息が詰まるのは粘膜から刺激成分が吸収され血管が収縮するため。

  トルエンを吸引するといわゆる「シンナー遊び」のように中枢神経を侵し、脳に障害が出る危険があります。

 ですが、このあたりは各塗料メーカーでしっかりと対策が取られています。

 例えば現在最もメジャーであるラッカー系塗料のMrカラーにはトルエンは含まれていません 。

 他の塗料にはトルエンが含まれているものもありますが「シンナー遊び」に使われるようなトルエン純度100%溶剤よりはずっと含有成分が低く、同列に扱うのは過剰反応すぎます。

 なお、トルエンの入っている塗料のほうが塗膜強度が高いため総合的な性能が高く、そちらを愛用しているモデラーさんが多いのもまた事実。

 使用するときはマスクをつけ、窓を開けたり換気をしっかりしてから使うのがラッカー系塗料のセオリーです。

●嫌な匂いがする!

 ラッカー系塗料は嫌な匂いがするのが特徴です。

 これが無理だから使えない!という人も結構多いのですが……

 実は嫌な匂いは後からわざとつけられているんですね。

  これは有害な揮発性分が無味無臭であると気が付かない間に中毒になってしまう危険が高いため。

  あの匂いは有機溶剤から人体を守ってくれる「セーフティースメル」なのです。

ラッカー系塗料はガンプラと相性バツグン!

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 ラッカー系塗料は何よりもガンプラの全塗装に向いています。

 というよりも家庭や健康の事情で使えないという理由が無い限り、ラッカー系塗料一択と言っても過言ではありません。

  ガンプラの全塗装では大量のパーツを手早く塗る必要があるので、乾燥時間の早いラッカー系塗料の特性は大きな強みになります。

 そして戦車や飛行機などのスケールモデルと違い、ガンプラは全身が可動します。

 動かしたときにパーツ同士が擦れて塗装が剥がれることがあるので、塗膜が強固で剥がれにくいラッカー系塗料は必需品。

 脱着式の外装なんか、ラッカー系塗料以外で塗ったらあっという間に塗装が剥げてしまうでしょう。

 実際、模型雑誌のガンプラ系プロモデラーのほとんどがラッカー系塗料を使って塗装しています。

 ラッカー系塗料はガンプラ全塗装の必需品なんですね♪

ラッカー系塗料は日本プラモ文化の屋台骨である!

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 最近は匂いゆえにアクリル系塗料や水性エマルション塗料と比較され、ちょっと肩身が狭いラッカー系塗料ですが……

 諸外国と比べて日本にこれだけプラモデル文化がしっかりと根付き、続いてきた上でラッカー系塗料は非常〜に重要な役割を果たしているのです!

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 ヨーロッパなどの海外モデラーの作品は基本アクリル系塗料かハンプロールなどのエナメル系塗料で塗装されています。

  これはそれらの塗料が特別優秀であるからではありません。

 ラッカー系塗料が規制されているため入手困難で、家庭でプラモデル用として使うのが難しいためなんです。

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 ラッカー系塗料は欠点を補って余るくらい、プラモデルの塗装に向いています。

 1980年代に入るとプラモデルはホビーとして市場が縮小した国が多かったのに対し、日本ではガンプラの誕生により途切れること無くプラモデル文化は続きました。

 先に解説した通り、ラッカー系塗料というのはガンプラの塗装に非常に向いている塗料ですし、安いので子供のこずかいでも買えるはおおきなメリットでした。

  もし、ヨーロッパのようにラッカー系塗料が使えなかったらいったいどうなっていたでしょう?

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 手軽に使える塗料なければ、プラモ文化は継承されません 。

 昔、電撃ホビーマガジンに掲載されていたGSIクレオスが熊本城のプラモデルを発売したときののインタビュー記事で読んだのですが 「我々は塗料を売っているのではなく、プラモデルという文化を守っている」 と語られていました。

 なるほど!とすごく感動したのをよく覚えています。

究極の特性は光沢が出しやすいことだ!

 最後に知られざるラッカー系塗料最強の特性、「光沢が出しやすい」というポイントを紹介します。

 これは当たり前すぎて気づきにくいのですが、ラッカー系塗料は光沢がとにかく出しやすい!

 有機溶剤で顔料や染料がしっかりと溶けているため表面がなめらかに仕上がりやすいのです。

 水性エマルション系塗料は基本つや消しですし、アクリル系塗料やエナメル系の光沢は乾燥に長い時間がかかります。

 乾燥が早いのに美しい光沢を簡単に得ることができるというのはプラモデル用塗料として、実は物凄く素晴らしいことなんですよ。

 ヨーロッパなどの海外モデラーのスーパーテクニックといえば、素晴らしいウェザリング仕上げが有名ですよね。

 日本のモデラーから見ると「凄い!マットなつや消しで、こんなリアルなウェザリングでまるで本物みたい!」と憧れちゃうんですが……

 向こうのモデラーからすると「日本のモデラーは光沢塗装の作品とか気軽に作れるから羨ましい!」というのもあるんですよ。

 水性エマルション系塗料は基本ツヤ消しですし、ハンブロールの光沢は乾燥にすごい時間がかかるし、ならつや消しを上手く活かせるウェザリングの技法を頑張ろう、とそっちの方向に技法が進化するのはある意味環境も大きな原因なんですね。

 光沢が手軽に出せるラッカー系塗料が使えるからこそ、日本のモデラーは多彩な表現を楽しむことができ、プラモ文化の豊かさを大きく広げる理由となったのです。

ラッカー系塗料はプラモデル用塗料の王者だ!

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 というわけででラッカー系塗料の解説でした!

 もしラッカー系塗料が他の国のように早い段階で使えなくなっていたら、日本のプラモ文化はとっくの昔に衰退していたかもしれません。

 ラッカー系塗料は偉大な存在です。

  次塗装するときはぜひそのあたりの歴史と文化を噛み締めて使ってみてくださいね♪

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