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オレはようやくのぼりはじめたばかりだからな。 このはてしなく遠い1/35民間車坂をよ… ミニアート 1/35ベンツ170VカブリオレB

こんにちは!プロモデラー林哲平です

今回はミニアート1/35ベンツ170VカブリオレBを、なんとか完成させました!

いや〜長かった……

目次

素晴らしき1/35民間車プラモの世界!

1/35といえば、ご存知戦車や大砲などのAFVモデルのスケールです

そして、この中でも特別異彩を放っているのが民間車のプラモデルなんです

ベンツやフィアット、シトロエンなど主に第二次世界大戦前後に活躍したクラシックカーが多いのですが、特に海外製の民間車キットの多くが、エンジンや内装まで全て再現されたフルディテールモデルなんです!

これは特に装甲など施していない民間車ですので、ディオラマの彩りとしてクラッシュモデルにするときに必要だからという理由付けもあるのですが、これを活かさない手はありません!

丁寧に光沢塗装して仕上げると、小スケールとも相まって、大変精密で素晴らしいカーモデルとして仕上がるんですよ

どうです? 作ってみたくなりませんか?

私はずっと前から、めっちゃ作ってみたかったんですよ♪

ベンツ170Vってどんな車?

ベンツ170Vは1936年からメルセデス・ベンツにより生産・販売されていた自動車です

第一次世界大戦の敗戦後、ドイツはベルサイユ条約で課せられた多額の賠償金が引き起こしたハイパーインフレなどで経済が大混乱しますが、1930年代に入るころには経済も回復を見せ、自動車工業も着実に再建していました。

当時のメルセデス・ベンツは高級車市場で成功を収めていましたが、経済の再建により余裕の出た庶民にも手の届きやすい価格帯の車の開発が求められていました。

当時のドイツ庶民向けの自動車となると、アメリカ資本の傘下に入ったオペルなどが強かったのです。

そこで、大衆市場にもアプローチするために開発されたのが170Vです。

大衆車らしく、構造はシンプルかつ信頼性の高いもので、修理しやすく維持コストが低いことが重視されました。

1939年に第二次世界大戦が勃発すると、ベンツ170Vは高級将校の移動用のスタッフカーや、ピックアップトラック、救急車などとして使用されました

そして、その活躍は戦後も続きます

ドイツ敗戦後、メルセデス・ベンツは1946年より170Vの再生産を開始、なんと1952年まで生産されます

これは高級車のラインナップを復活させるために時間がかかり、その間の繋ぎとして170Vが生産されたとされています

生産は1952年まで続き、あしかけ17年、大戦を跨いて活躍した自動車となったのです

憧れのミニアートのベンツ!

このキットの存在を知ったのは10年以上前のこと

当時、カーモデルを作りたい!と、大変詳細な制作法を丁寧に解説されている、カーモデラーの北澤志朗氏のブログを読み漁っていたのですが、そこでミニアートのベンツ170Vが紹介されていたんです

https://blog.goo.ne.jp/kitazawa1961/e/01916b8c8e59eebac9d802acd8b7fefe

まるでポケールのキットを縮小したかのような、超精密なその部品構成!

特にサスペンションのコイルスプリングがスライド金型で一発抜きされているのにはビックリ!

これは欲しい!と、下北沢のサニーで購入したのですが、箱を開けてパーツを眺めて

「あ、これ絶対無理なやつだ」

とビビってしまい、引っ越したときの在庫整理で手放してしまったんですよ

作例を作ってミニアート熱が再燃!

と、その時は諦めてしまったのですが、この10年で何度かミニアートのキットの作例を作る機会をいただいたんですよね

トラクターとか

ヘリコプターとか

またトラクターとか

私はガンプラのディテールアップにもミニアートのキットを愛用してますし、かなりミニアート慣れしてきたんですよ

そんな今なら……!あのとき諦めた、憧れのベンツ170Vを作れるかもしれない!

その頃はユーチューブを始めようと思っていたこともあり、この機会に作ればいいじゃん!とノリノリで改めてベンツ170Vを再びお迎えしたわけです

ユーチューブは楽しい♪けれど……?

こうしてユーチューブでベンツ170Vの制作動画を撮り始めたのですが…

思った以上に大変!

キットは細かいパーツが多く、ディテールも繊細なので気が抜けません

しかも私はカーモデルを作り慣れていないので、撮影しながらプラモを作り、かつ小粋にトークしていると作業が全然進まない!

そして、なにより良くなかったのが途中でルビコンモデルのカチューシャの制作動画を作ったことです

これを作ったことで、自分の中で「プラモの制作動画を作りたい欲」が大幅に満たされてしまい、制作のモチベーションが急降下爆撃してしまったんですよ!

いやあ、ルビコンのキットがあまりに作りやすすぎて「ベンツで動画撮りながら作業進めるのは無理だ」ってなっちゃったんですよね

というわけで制作動画は23日目でストップ!

ボディの塗装まで終わった状態で、6ヶ月ほど机の片隅でホコリを被っていたんですよ

年内に仕上げる!

ただ、直近で、少し時間が出来まして

ユニモデルのクリスティー戦車とか、ミルリトンのケイオスドラゴンとか作っているうちに、モリモリとプラモを作るモチベーションが湧いてきまして

この熱いパトスを失わないうちに、ベンツ170Vを完成させよう!と作業を再開したんです

ただ、そう簡単にはいかないのがミニアート

個々のパーツを塗装するのはそれほど問題無かったのすが、最後にパーツを組み立てるところで大苦戦

パーツが上手く合わなかったり、接着剤がはみ出たり、エッチングパーツを折ったり、歪めたり、無くしたり

特にフロントグリルのエッチングがズレた状態で接着されてしまい、接着剤で埋まったメッシュ部分を修正しようとして針でつついたらメッシュそのものに大穴が開いたときは涙を飲みました

フロントのスリーポインテッドスターのエッチングを無くしたときは、もうカイジに折られたことにするしかない!と諦めたのですが、奇跡的に発見できたときはプラモ神に感謝しましたね

他にも結構パーツを無くしているので、もう美しく完成!じゃなくて、なんでもいいから完成!へと目標を切り替えて、なんとか形になった次第であります

キットの制作ポイント

と、長々とポエムばかり書いてきたので、肝心の制作ポイントを

やたらと「難しい!」みたいなことを連発していますが、本来、このキットはAFVモデルとして設計されています

戦車や装甲車のように、ほとんどのパーツは接着してから基本色をエアブラシで塗り、細かい部分は筆で塗り分け、ウェザリングして仕上げる前提のプラモなんです

それを今回、無理やりカーモデルとして制作しているので、ある意味縛りプレイのように難易度が上がってしまった、というわけです

キットは見ての通りパーツ数が多く、大変繊細ですが、ボディなどの合いは悪くありません

ただ、ボディのサイドパーツとフロントグリルのセッティングが、接着部分が少ないため大変合わせにくく、私は結構な隙間と段差が出来てしまいました。ここは接着や位置決め用にリブやシロをプラ板で作っておくほうが良いかもしれません

エンジンは全てのパーツを分けて、塗装してから組み立てています

エンジンブロックは金属含有量の高いMr.カラー8番シルバーを砂吹きして、鋳造された凹凸の表面を再現しています

エンジンフードは実車とは開け方が違いますが、上の二枚を内側からマスキングテープをこのように貼って固定しています

最初は接着しようとしたのですが、接着剤でヒンジの繊細なディテールが潰れてしまうんですよね

なので上に乗っかっているだけで、横に倒すとボンネットは落ちます。でも、下手に接着して汚くなるよりはいいかなあと

ミニアートあるあるなのですが、ライトやガラスパーツは少し大きく、事前に削ってパーツがしっかり収まるようにすり合わせをしておくと楽です

フロントガラスは成形の都合上、キットのプラパーツではどうしても厚みがあるので、コンビニ弁当のフタを切り出して薄くし、スケール感を強調しています

ワイパーはキットのものを思い切り曲げて使えなくしてしまったので、ボイジャーモデルのタミヤシュタイヤー1500A用のものに交換しています

ヘッドライトやバックミラー、テールランプなどはセッティングが難しいので、金属線で軸打ち、位置決めしておいたほうが絶対にいいよ!と過去の自分に伝えたい……

塗装は説明書の指示にある、1948年、ウクライナのキエフでの車輌に

旧共産圏の民間車(ドイツ製だけど)の立体物って大変少ないので、これにするしかないかなあと

決して、タイヤのホワイトウォールを塗り分けるのが面倒だとか、ディテールやデカールが全く無い、ホイールキャップのスリーポインテッドスターを再現するのは無理だ!と諦めたわけではないですよ!本当です!

基本的に愛用のガイアカラーで塗装しています

ブラックはアルティメットブラック

ブラウンはナチュラルブラウンを元に、明度を下げないように気をつけながら少し渋めに調色

研ぎ出しはExクリアーを三層ほど吹き、タミヤ3000番スポンジヤスリで中研ぎ後、再度クリアーを吹き、タミヤコンパウンド粗目→細目→ハセガワセラミックコンパウンドで磨いて仕上げています

メッキ部分は今回トアミルのボーンペイントを使ってみました

下地を2000番までやすりがけして表面処理し、Mr.フィニッシングサーフェイサー1500グレーを吹いたあと、アンダーブラックⅡで下地を作り、ボーンミラーⅡを上掛け

ボーンミラーⅡの塗装ですが、通常のメタリックカラーのように表面が塗れたように塗るのではなく、少し離れたところから、エア圧弱めでふわっと塗料を載せるように塗るの輝くメッキ調の仕上がりになります

ただ、ちょっと色がイメージより暗くなってしまったので、ガイアカラーのプレミアムミラークロームを軽く上掛けして輝度を増し、最後にフィニシュクリヤでコート、表面を保護します

フィニシュクリヤは塗膜が強化される添加剤も購入したのですが、乾燥に48時間かかるということで、これは待ちきれないなあ、と今回は使っていません。次は試してみないと!

バンパー部分はメッキパーツとボディへとつながるスプリングが一体となっており、スプリング部分はシャシーと同色のブラックで塗らなければいけないのですが、マスキングは大変なので筆塗り。シタデルカラーのアバドンブラックで塗っています。厳密にはシャシーに使ったガイアのセミグロスブラックと色調は違うのですが、完成するとまったくわかりません

インテリアは水性ホビーカラーのセールカラー+フラットホワイトで塗装、はみ出した部分はマジックリンで拭き取って仕上げています

カーモデルの内装塗装に、水性ホビーカラーは本当〜に便利ですね♪

シートは半光沢のブラウンを砂吹きして、レザーの質感を表現しています

計器類はキットのクリアパーツは使わず、UVクリアレジンを使ってガラスを再現してみました

オレはようやくのぼりはじめたばかりだからな。 このはてしなく遠い1/35民間車坂をよ

いろんな失敗がありましたが、なんとか完成しました!

こう、「打ち切り漫画が最終回で全てのフラグを回収して無理やり完結!」みたいなモデリングですし

近づいて見ると接着剤がはみ出した部分とか、塗装が剥げて修正した部分とか、ライトがズレてる部分が気になったりするんですけど

1メートルぐらい離れて見ると、1/35のミニサイズに数百パーツが集結した精密感がたまらない……ような気もしてきます

でも、う〜ん、今回は自分の技術力不足が身にしみましたね

1/35よりも小さい、1/43でもっと精密なキットを制作されている人も多いので、もっと修行しないとですね

ミニアートのベンツ170Vは多数バリエーションが出ているので、ぜひともリベンジしたい!

……ですけれど、次はもうちょい部品数少なめで作りやすいキットで経験を積みたいですね〜

1/35民間車は作りたいキットがいっぱいあるので、何作るか迷っちゃいますね♪

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この記事を書いた人

 こんにちは! プロモデラー林哲平と申します。

 2005年より模型専門誌ホビージャパンの編集部に在籍。

 趣味、仕事合わせて3000体以上のプラモデルを組み立てた経験を活かし、プラモの楽しさをみんなに伝えたい!と実体験から得た製作テクニックなどを日々発信しています。
 

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