こんにちは!!! プロモデラー林哲平です。
ワンフェス修行編、第五回は私が最後にワンフェスで原型を作って売ったときのことをお話します。
憧れのホビージャパンで仕事を始め、ワンフェスへの欲求がかなり落ちていた時代。
最後に大成功!!! とまではいきませんでしたが、まずまずの結果を残した記録です。
レッドオーシャンと化したボトムズからの撤退を決意する!
ライジングトータスを売り出したあたりのころ、ワンフェスではボトムズブームが巻き起こっていて、多くのメカ系ディーラーが未立体化のATを1/24で製作し、おまけにガンガン売れていました。
当然商品が被ることも増え、このままATを作ったところで、もし上手いところに作られたらおしまいじゃないか? と危惧。
ATからの撤退を決意したんですよね。
で、AT以外で売れそうなメカは…… となると目についたのはバーチャロンとスーパーロボット大戦でした。
友人にすごいバーチャロン好きがいて、絶対行ける!と言われたのですが…
バーチャロイドはデザインが複雑なうえ、売るたびに完成品の提出を求められ、何より大手のレベルが高すぎて自分が作ったところでまったく太刀打ちできんだろう、と却下。
となるとスーパーロボット大戦になりますが、なんだかんだいってどれも線が多いデザインで、作るのも大変そうだし複製も大変そうでどうしようかな~ って様子見してたんです。
そこで、たまたまアストラナガンを売っているディーラーを見かけたんです。
アストラナガンは第一次スーパーロボット大戦αに登場する敵メカで、劇中での活躍もあり人気が高かったのは知っていました。
そのアストラナガンはめちゃくちゃ上手い! というわけでは無かったのですが、かなり小さいサイズのガレキで7000円、完売の札がついており、話を聞いてみると10個ぐらい持ってきて即完売だったということ。
で、自分はアストラナガンてゲーム中のCGモデルしか見たことがなく勝手にリアル体型はパトレイバーのグリフォンみたいなプロポーションだと信じ込んでいました。
でも、そのディーラーさんが作ったモデルの形があまりにも自分のアストラナガン像からかけ離れていたんですよね。
「このアストラナガンは何を参考に作ったんですか? リアルの立体物を見るのが初めてなので」
と聞いてみると、「これは攻略本に載っている設定画に忠実に作っている」って教えてくれたんです。
でも、自分はそんなわけがない!!! この人は親切だけど、ちょっとプロポーション取りが苦手なんだろう、と勝手に判断していたのですが……
ワンフェスを終えて速攻で古本屋を巡って設定画が掲載されている攻略本を見てみると!!!
まさにドンピシャのプロポーションでディーラーさんの造形がいかに正確だったかを思い知りました。
スパロボ好きの友人にこの設定画を見せたところ、
「初めて見た!!! リアル等身だとこんな感じだったんだ……」
と私と同反応。
これを見て、みんな設定画を知らないならグリフォンみたいな体型にアレンジして売れば行ける!!!
と確信!
前回のライジングトータスの反省から、みんなが勝手に想像している「ゲームのCGを引き伸ばしてリアルにした姿」が一番ウケるだろうと考えた訳なんですよ。
というわけで当日版権を申請し、製作開始したわけです。
自分が見回ったところ、アストラナガンは小さいサイズの設定に忠実なモデルとフィギア風にアレンジした固定ポーズの超巨大なモデルが売られており、共に完売状態。
ガンプラで言えばHGとPGはあるけどMGは無い、という感じでここをついたんですよね~
今はコトブキヤからプラモが出ているので、いい時代になりましたね。
アストラナガン見事に完売!!!
ワンフェス当日。
写真が残っていないのが悔やまれるのですが、マスターグレードサイズ(といっても羽を入れたら50センチくらいあったけど)のアストラナガンを17000円で10体持っていったところ……
読みが当たり、開場直後に完売。
その後会場を見回ったところ、他にもアストラナガンを出しているディーラーさんが結構増えていたのですがどこも完売だったのでたまたま波に乗れただけだったのかもしれませんが(笑)
嬉しかったのが、自分のアレンジしたアストラナガンにめちゃくちゃ影響された形状のアストラナガンが後日大手ディーラーさんから販売され、ガンガン売れていたこと。
自分が作ったものを真似てくれて、しかもそれが売れるってモデラーとして最高の喜びですよね!!!
私はアストラナガンは完成見本をつくるのが面倒くさい(商品サンプル提出が完成見本提出だった)ので一回しか売らなかったのですが、こうして形を変えて後に続くきっかけになれて本当に良かったです。
得意分野はやっぱり強い!
アストラナガンでの成功は全部自分の得意分野で勝負したのが要因でした。
私はMGサイズのガンプラでいえば1/100に相当するスケールでのロボ製作や、バリバリしたラスボスっぽいメカを作るのは得意なんです。
自分の適正の再確認にもなりましたし、何よりも最後に自信に繋がったのが一番かもしれません。
プラモに限らず「下手の好き好き」みたいにシニカルに構えている人もいますが、私はこう言うものは「好きこそものの上手なれ」だと確信しています。
自分が好きなことって、やっぱりすごく強いんですよ。
そして技能って使うシチュエーション次第なんです。
「足を長くしてかっこよくアレンジする」
はライジングトータスには通用しなかったですが、アストラナガンでは効果抜群でした。
自分の得意分野と合わなければ威力は半減どころかマイナスになりますが、合うキャラクターとマッチすれば絶大な威力を発揮するんです。
それからは。
ホビージャパン編集部でも作例をやらせてもらえるようになり、ガンガン作例を作って充実した日々を送る中、プロモデラーになるための修行的な意味が強かったワンフェスへの興味が薄れ始め、アストラナガンを最後に私はワンフェスで新しい原型を作ることは無くなりました。
これにてちょっとの間でしたが、栄枯盛衰を味わえたワンダーフェスティバルのお話は終了!!!
…… といいたいところなんですが、実はATとかアストラナガン以外にも、ちまちま売っていたものがあったんですよ。
いわゆる「無版権アイテム」というもので、これ触れないわけにはいきませんからね♪
次回最終回「無版権グレーゾーンアイテムは要注目!!!」篇をお楽しみに!!!
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