こんにちは!プロモデラー林哲平です。
今回はホビージャパン2021年3月号の連載記事「ガンプラ凄技テクニック」で製作した、HGオリジンシリーズの 高機動型ザクオルテガ機とアクトザクキシリア部隊機のミキシングで製作した高機動型アクトザクを紹介します♪
ミキシングに重要な設定的な説得力を「MSV」から学んでみよう!
ガンプラの魅力はその深い世界観にあります。
ただカッコいいだけのロボットのプラモデルではなく、「ガンダム世界の兵器の立体物」であるという、実在の兵器を立体化したスケールモデル的な要素も強いもの。
ミキシングビルドでも「そのMSは本当にガンダム世界にいても不思議ではないのか?」という設定的な説得力は大きな武器となります。
というわけで互換性の高いHGオリジンシリーズのジオン系MSを使って、説得力の強いMSV的なミキシングビルドを学んでみましょう!
MSVの全ては06Rにあり!
MSVのアイコンとも言えるMS-06R高機動型ザク。
ザクのバリエーション機として、アニメフィルム以外の世界へとMSの可能性を発展させた、ガンダムシリーズの中でも歴史に残る偉大な機体です。
1/144でも旧キット、HGUC、RGといろいろ発売されていますが、今回は歴代06Rの中でも最新キットであり、バリエーションキットとの互換性も高いオリジン版をチョイスしました。
06Rを06Rたらしめる最大のポイントは大型のバックパックとバーニアが増設された脚部です。
一目見ただけで「普通のザクよりも強そうだ!」とビジュアル的に理解できる、とにかく優れたデザインなのです。
ガンプラ好きならばこのバックパックと脚部さえついていれば、「あ、これは高機動型なんだな」と一瞬で把握できるでしょう。
HGオリジンシリーズのジオン系MSはフレーム構造が共通で、パーツ単位で組み換えがとてもしやすいのです。
今回はMSVのアイコンとも言える、 06Rのバックパックと脚部をいろんな他のオリジンジオン系MSと交換して遊びつつ、説得力ある組み合わせを探してみよう!というのがメインテーマとなっています。
いろんなMSを高機動型化してみよう!
今回は様々な考え方やバリエーションの可能性を模索するため、いろんなジオン系MSに高機動パーツを装備してミキシングを試してみました。
○旧ザク
○プロトタイプグフ
○ドム試作実験機
○アクトザク
の四機が実験台となります。
さあミキシングビルド行ってみましょう!
高機動型旧ザク!
まずは旧ザクと組み合わせてみましょう。
機構がほぼ同じなので、まったくの無改造で組み換え可能。
旧式機にこんな豪華パーツをつけるのか? という疑問もありますが、実在の兵器でもデータ収集用として旧式機に試作パーツを付けて実験したりするので、これはこれでアリですね♪
高機動型グフ!
続いてグフと組み合わせてみましょう 。
「宇宙でグフとかどうなの?」という疑問は当然ですが、あれぐらいドムそのままのリックドムがいるくらいですし、高機動パーツをつけて宇宙で使えるか実験していたグフがあっても不思議ではありません。
これはこれでアリですね♪
高機動型ドム…?
次はドム試作実験機。
……うん、これはちょっと似合わないですね。
そもそもドムは最初から高機動型ザクより足が太いですから、つけてもパワーアップして見えないんですね。
ミキシングをしていると、ハズレの組み合わせになるのもよくあるので、めげないようにしてくださいね♪
高機動型アクトザクで決まり!
最後にアクトザク。
これはカッコいい組み合わせです! アクトザク自身はZ時代でも使われるほどの高性能機。
06Rのバックパックを装備すると弱くなりそうではありますが、開発中に間に合わせでパーツを装着して実験していた機体とかあっても不思議ではなさそうです。
今回はこれで行ってみましょう♪
機体特性を先鋭化させてキャラクター性を強調しよう!
アクトザクはヒートホーク二本持ちや「宇宙閃光の果てに」のマレット機など格闘寄りのイメージが強いMSです。
イフリートやグフのように両肩をスパイクアーマーとし、オルテガ機の巨大ヒートホークを装着し、より格闘的な印象を強めています。
機体特性を強化すると、キャラクター性が強まり、説得力の強い構成になりますよ♪
サーフェーサーで色を統一する!
バラバラになっている機体カラーをMrフィニッシングサーフェイサー1500グレー、ブラックで統一します。
フィニッシングサーフェイサーシリーズは隠蔽力抜群なうえに、キメ細かく、乾燥するとサテンのような美しいつや消しとなるので高性能塗料として使用可能なのです。
これは「週末で作るガンプラ凄技テクニック」掲載のジムウォーリア2と同じ方法ですね。
こちらにサーフェイサーについての特性も紹介しているので、合わせて読んでみてください♪
ピンクサフで鮮やかなレッドを!
黒グレーだけだと配色が地味になりすぎるので、肩アーマーは赤く塗ってアクセントとします。
下地にタミヤファインサーフェイサーピンクを塗っておき、タミヤスプレーのイタリアンレッドで塗装します。
赤の下地にはピンクを塗っておくと、美しく発色するんですね♪
ピンクサフはイエローの下地にも使える!
ところでピンクサフ、実はイエローの下地としても使えるって知ってましたか?
白サフに黒を足して隠蔽力を上げているグレーサフ同様の原理で、白サフに強い色である赤を入れて隠蔽力をあげているので、グレーサフと違って明度が下がっていないんですね。
だから弱い色であるイエローでもバッチリ発色するんです♪
(控えめな)ハゲチョロ塗装でMSV風に!
ウェザリングは「週末で作るガンプラ凄技テクニックHG編」のドム試作実験機とほぼ同じ多重ウォッシング方法で汚しています。
それに加えて、MSVなので第一次ガンプラブーム当時に流行したシルバーによるハゲチョロ塗装を加えています。
ただ、デザインが洗練されているオリジンMSに派手なハゲチョロをすると悪目立ちするので、あくまで控えめに。
飛行機モデルの銀ハゲくらいの繊細さで加えておくとよりリアルに仕上がりますよ
今月のボツビルド!
ミキシングビルドといえば組み換えの途中に生み出された、カッコいいんだけど、結局採用しなかった構成がつきもの。
というわけで今月のボツビルドですが、たくさん機体を使って作ったので2体あります!
こちらはグフホバークラフト試験型。
地上での運用に祭して、ドムと同様のホバーを備えた実験機として、グフ飛行試験型へと発展する機体をイメージして組み替えてみました。
こちらはザクマグネットコーティング試験型。
旧ザクの胸とアクトザクの脚部を使い、動力パイプが少ない構成に。
アクトザクにつながる、ザクⅡのマグネットコーティング用実験機をイメージして製作してみました。
「これカッコいい!」と思った人はぜひ作ってみてくださいね♪
「ガンプラ凄技テクニック」は隠れた名作キットを応援します!
このアクトザク高機動型、本当は「ガンプラ凄技テクニックHG編」でやろうと思っていたのですが、キットが入手困難で、読者さんがなかなか真似できない構成であったので見送った経緯があるんです。
その時は代打として在庫が豊富にあり、見た人が誰でも真似できるようにシナンジュ系ガンプラを合体させて「シナンジュシュムック」を製作しました。
ですが、隠れた名キットはどんどん紹介していろんな人の目に触れるほうが再販されるかも? と想いをこめて今回の登用となりました。
今回は高機動型ザクと合わせましたが、ハイザックやガルバルディ、マラサイと合わせたZ時代を思わせるカスタムも作りたいんですよね♪
「ガンプラ凄技テクニック」では、1冊目は一年戦争系MG2.0シリーズの再評価というのもテーマでしたし、最新キットではなくても、出来が良くて皆さんにもぜひ手にとってほしいキットを出来る限り取り上げるようにしています。
なので今後の連載でも「このガンプラはぜひ手にとってもらいたい!」と再評価してほしい、隠れた名キットを取り上げていければいいな〜と思っております♪
「MSV」を意識すればミキシングはバッチリ!
カッコよさと同時にミキシングビルドの重要なポイントとなるのが「そのMSはガンダムの世界に本当にいそうか?」という設定的な説得力です。
ですが、「設定を考えるなんて難しい!」 という人も多いもの。そんな時は「MSV」を意識しましょう。
「MSV」は「モビルスーツバリエーション」の略称。
アニメのガンダムを超えた世界の広さを立体物としてのプラモデルで表現した「MSV」はガンプラミキシングアイディアの宝庫なのです。
MSVの機体設定をしたストリームベースの小田雅弘氏は著書「ガンダムデイズ」の中で、ジオンのMSを第二次世界大戦の戦闘機、つまり現実の兵器に当てはめながら設定を作っていたと記しています。
つまり、MSVのMSは現実の兵器の発展系統に即した、極めて強い説得力を生まれながらにして持っているのです。
そのMSVの遺伝子を現代に受け継いたHGオリジンシリーズはMSV的なミキシングを学ぶには最適のシリーズ。
ちょっと組み替えるだけで「いかにもありそう!」なMSを簡単に作ることができます。
ぜひ、HGオリジンシリーズを組み替えて、自分だけのMSVを作ってみてくださいね♪
ホビージャパンをよろしくお願いします!
というわけで高機動型アクトザクでした♪
ホビージャパン2021年4月号をよろしくお願いします!
「ガンプラ凄技テクニック ミキシング編」に増補版で収録!
この作例は月刊ホビージャパンでの連載をまとめた本「週末でつくるガンプラ凄技テクニック ミキシング編」に製作途中写真や製作解説、完成写真を10枚以上追加した増補改定版で収録しています。
下↓の記事で本の内容について徹底解説していますので、本誌の連載で一度読んだ人も、まだ見ていない人も目を通してもらえると嬉しいです♪
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