こんにちは!プロモデラー林哲平です
今年もモデラーの大敵、梅雨がやってきましたね。
梅雨や秋雨、長雨が続くと湿度が上昇し、ラッカー系塗装で塗装すると、表面が白く曇ってしまう恐怖の現象「かぶり」が発生してしまうんですよ!
本来であれば「雨の日は塗らない。晴れまで待つ」でOKなのですが、いかんせん私は仕事でプラモを作っていることも多いので、締切り間に合わせるため、ゲリラ豪雨の中でもど〜しても塗らないといけないことがあるんですよ!
というわけで、今回はそんな私が実践している、梅雨どきのかぶり対策について紹介しますね♪
なぜ、かぶりがおきるのか?
かぶり現象が起きやすい塗料はラッカー系塗料です
ラッカー系塗料は有機溶剤が揮発することで定着するのですが、水とは混ざらないため、塗装をすると空気中の水分が塗膜の中に封入されてしまうのです
まあ、空気中に水分が含まれているのは当たり前なので普通に塗装するぶんには気にする必要が無いのですが……これが空気中の水分があまりに高いと中に水分が封入されすぎて塗膜から抜けず、塗料の成分と反応して白くくもってしまうんですよ
これが「かぶり」です
かぶりが特に発生しやすいのはフラットベースを入れたつや消しクリアーで、これは大抵ガンプラなどの最終仕上げのつや消しに吹く事が多いので「今日仕上げるぜ!ラストスパートだ!」みたいなときに雨が降るとつい無理して吹いてプラモが真っ白になり、同時に頭の中も真っ白になる……という幾多の悲劇を生んできたのです
誰でもできる!かぶりを防ぐポイント3つ
そこで私がやっている梅雨時ツヤ消し法を紹介します。 重要なのは
①除湿
②ツヤ消し塗料の調合
③吹き方
の3つのポイントです。
エアコンの除湿機能を使う!
エアコンを除湿モードに設定しハイパワーモードで最低温度まで下げて部屋の中の水分を減らします
塗装する1時間くらい前からかけておきましょう
なお、除湿をかけて塗装するときは室内が密閉気味になり、部屋中のシンナー濃度が上がりがちですので、ネロブースなどのシロッコファン搭載型のパワーの強い次世代型塗装ブースを使って換気をし、防塵マスクをしながら作業をすることを強く推奨します
ツヤ消し塗料の調合!
フラットベースにクリアーを混ぜ、少しづつフラットベースを足しては試し吹きを繰り返しすると白化するタイミングがあります
それがその日の湿度の限界ツヤ消し点なので、最後にクリアーを少し足して調色を終えます
自然には勝てないので、湿度に合わせて調色するわけです
ただ、どうしてもクリアーを多めにいれるぶん、ツヤが出てしまいやすくなるので、完全なマットに塗装したいときは晴れるまで待ちましょう
拭き方で調整する!
表面に塗料を吹き付けすぎないように吹きます。表面を覆うツヤ消し塗料の量が多く乾燥時間が伸びるとスジボリや窪み部分など塗料が溜まりやすい部分が白化しやすくなるので吹きすぎ要注意です。
とはいっても、吹く量が少しすぎてもザラザラになってしまうので、 なかなか言語化するのが難しいのですが……
とりあえずなにかに塗ってここは試し吹きを繰り返しておくと失敗を減らせます
それでも白くなってしまったら?
しかし、どれだけ気を使っていても白化してしまうことももちろんあります。
そんなときは一度クリアーを吹くと白化が落ち着くので、乾燥してから再度ツヤを消しましょう
それでもどうしても白化が消えないときは……ええと、そこから急遽ウェザリングを施して誤魔化すか、涙を飲んで再塗装ですね
まあ、晴れるまで待てばいいだけなのですが……
プレミアムトップコートつや消しを使う!
と、さんざんいろいろ書いてきましたが、ラッカー系のつや消し塗料よりもずっと白化しにくいプレミアムトップコートつや消しを使う、というのがかなり効果的です
基本が水性塗料であるためか、プレミアムトップコートつや消しは湿度高めな日でもなかなか白化しにくいんですよね
いや、晴れた日に吹けよ!って話なんですが……
室内干し洗濯用除湿機を使う!(※超最終手段です。普通のモデラーさんには必要ありません)
これは超最終手段なのですが、梅雨時でもエアコンの除湿機能以上に強制的に湿度を下げることができるマシン……室内干し用除湿機を私は使っております
私が使っているのは、三菱電機 MJ-PV250SX-W コンプレッサー式衣類除湿乾燥機SARARIというモデル。
うちの作業部屋は広いので、除湿能力を最優先し、15畳向けのハイパワーモデルを導入したんですよ。まあ、78000円もしたのですが効果はさすがに抜群です
でも、最初は買う気は全然無かったんですよ。一部のカーモデラーさんなどが除湿機を使っているのは知っていたのですが、さすがに私の製作スタイルならいらないよな〜って
でも……どうしても、どうしても必要なときがあったんですよ
あれは2021年の8月でした。
私は当時の自分の集大成である本「機動模型超級技術指南」の表紙モデルである、ジークジオングの塗装をしておりました
ジークジオングはHJUCネオジオングから改造しているので、とにかく大きく、そして私はこれを光沢で塗っていたんですよ
で、その夏は本当〜に雨が振って湿度が高くて
がんばって全部のパーツをガイアノーツのビリジアングリーンで塗り、次の日パーツを見てみると……全部のパーツが白くかぶっている!
晴れを待てばいいじゃないか……なんて悠長なことは言ってられません!
なんせ、締切りがすぐそこに迫っっている!しかも作っているのは本に絶対欠かせない完全新規の表紙モデル!
これはもう、乾燥機を導入するしか無い!
というわけで、奥さんに相談します
「あの…… えっと、どうしても作業に必要だから除湿機が欲しくて……78000円するんだけど、ほら、冬とか梅雨だと室内干しにも使えるし……」
「それ、あのすごいの作るのに絶対必要なんでしょ。買ったほうがいいよ」
というわけで乾燥機を購入したんですよ。いや、理解ある妻で本当にありあたがいです
そんなこんなで導入した乾燥機ですが、超強力な除湿能力により70%を超える湿度を45%ぐらいまで引き下げることができます
湿度が50%台まで下がればかぶりや白化はほぼ起きません
湿度が高いときは8時間ほどでタンクが満杯になってしまうので水はこまめに捨てるようにしてください
乾燥機を使うと部屋の温度が上がるため、夏場は熱中症を防ぐためにもエアコンの除湿機能と必ず併用するのが安全です
なお、除湿機にも湿度の表示はありますが、部屋の湿度が均一になるのは少し時間がかかるのでエアブラシの近くにも湿度計をおいておき、そちらを参考にするといいでしょう
もちろん、洗濯用衣類乾燥機なので、通常の用途にも使えます
我が家でも、冬場や梅雨時の室内干しのときのほうが塗装時よりも活躍しております♪
晴れの日を待とう!
というわけで雨の日にどうしても、ラッカー系塗料でプラモを塗装しなければいけないときの対策でした。
まあ、こんなことしなくても「晴れの日を待って塗装する」のが一番なんですよね
それにしても、春夏秋冬がある、温暖湿潤気候の日本でこうだということは、他の国のモデラーさんは雨のときどう対策しているんでしょうか?
GBWCの作品を見ると、東南アジア地域のモデラーさんの作品も見かけるので、どう塗っているのがすごく気になるんですよね
雨が振ったらお休みな、生き物としての人間的な余裕も模型製作には大事なのかもしれませんね
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コメント
コメント一覧 (2件)
いあガンプラ再開した初心者で、上のシリーズの本3冊買ったんですけどw 別の方が書かれたのも1冊読みましたが湿度の注意どこにも書いてなかった気がします
雨の日に塗装してめっちゃ白くなりましたよ。。。 スプレー缶の吹き方のせいかもしれませんが
タダで見れるネットでしか情報得れないのはなんか無駄感あります
おっさんモデラーさん
本、お買い上げありがとうございます!3冊手にとっていただけるなんて、嬉しいです
湿度の注意なのですが、HG編の最初のリバイブガンダムで解説しているのですが、すこし文章が少なく、もっとわかりやすく、しっかりと触れておいたほうが良かったのかもしれません
今後本で紹介することがあれば、より取り上げていきたいと思います